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  • 実習で使用する看護理論6選!理論なき看護は介護になっちゃうよ!

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    今回は、精神看護学実習に必要な理論について解説したいと思います!

    吹き出し イラスト6

    精神看護学実習における看護理論を使って患者さんの援助に当たる方法について解説します

     





    精神的苦痛 画像

    1.セルフケア理論(オレム・アンダーウッドモデル)

    看護学生さんのみなさんは、セリフケア理論についてどうお考えになりますか! 

    下記ではより詳しく解説していますのでぜひ最後までみてくださいね!

    1.セルフケアの6つの領域

    精神看護では、以下のようにセルフケアの6つの領域(オレム・アンダーウッドモデル)に分けてアセスメントするのが一般的である。

    この6つの領域は、人が持つ基本的欲求を充足させるために行われるセルフケアである。

    A) 空気・水・食物:呼吸、水分や食物の摂取に関係するセルフケア。

    B) 排泄:便、尿の排泄に関するセルフケア(女性の場合は整理も含む)

    C) 体温と個人衛星:体温の維持、心他尾の清潔に関連したセルフケア。

    D) 活動と休息のバランス:運動、仕事などと休息、睡眠の適切なバランスをとることに関連したセルフケア。

    E) 孤独と付き合いのバランス:適切な対人関係を維持することに関連したセルフケア。

    F) 安全を保つ能力:自傷、他害等自他の安全を保つことに関連したセルフケア、服薬中断がこの能力を低下させることがあるので、服薬をこの領域に位置づけることがある。

    セルフケア行動を阻害する要因

    セルフケア行動が制限される要因として、「知識がないため適切なセルフケア行動をとれない」「知覚、記憶、注意や実行機能などの認知機能が十分に働かないため、判断し実行することが不可能」「セルフケア行動を行う環境条件が整っていない、意欲、関心がない」などがあげられる。

    また、精神症状や薬物の副作用などもセルフケアに影響する。セルフケア不足がある場合、何がセルフケア低下の原因なのか、これらのことが手がかりに検討する。

    看護の提供システム(ケアレベル・セルフケア提供システム)

    ケアレベルとは、セルフケアの不足が生じた場合、看護がどのレベルのケアを提供するかを示したもので、「全介助」「部分介助」「声かけ指導」「教育指導・指示」「自立」などのレベルがある。

    患者の回復過程に応じてセルフケアレベルを評価し、個別計画を立て、必要とされる看護を提供する。

    回復過程とセルフケア

    急性期におけるセルフケアは、薬物療法等を活用しつつどのように症状を自己管理していくかが課題となる。症状が改善するにつれ、セルフケア行動を制限していた知覚、注意、実行機能などの認知機能の回復に並行してセルフケア能力も回復していく。

    回復期では、急性期症状の改善後も残存しているセルフケア不足の回復を目指し、日常生活の自立を促す方向への援助を行う。  慢性期では心理教育などの活用し、社会参加が可能となるレベルのセルフケア能力の獲得を目指す。

    2.危機理論

    危機プロセスの種類  

    コナーは危機のプロセスには2つの種類があると述べている。

    1つは、はじめは有効に対処していたが、ストレスが長期化するに至って危機的状態へと陥る消耗性の危機(exhaustive crisis)

    もう1つは、時間的な準備がなく、突然の社会環境の変化や突発的な衝撃的出来事で、それまでの対処機構では対応できない危機的状態に陥るショック性の危機(shock crisis)である。

    この区別に従うと、消耗性の危機として危機に至る過程に焦点を当てた危機モデルは、アギュララとメズィック、ゴーランなどのモデルであり、ショック性の危機に陥った状態から適応へと至る過程を記述した危機モデルは、フィンク、ションツ、コーン、ドゥリン、フレデリックとガリソン、キュブラーロス、山勢などのモデルに分けることができる。

    従って、臨床で危機モデルを用いる場合には、その患者が危機のどのようなプロセスを経ているのかを判断して、それにふさわしいモデルを選択して活用する必要がある。

    3.フィンクの危機モデルについて

    急性期領域はもちろんのこと、その他の多くの看護場面で活用され、看護研究の概念モデルとしても採用されている。  

    特徴をまとめると以下のようになる。

    4つの段階プロセスモデル

    ・外傷性脊髄損傷によって機能不全に陥ったケースの臨床研究から

    ・喪失に関する文献研究から

    ・障害受容に至るプロセスモデル

    ・ショック性危機にある場合のケースを対象

    ・マスローの動機づけ理論を土台にしている

    ・実証的研究や幅広い領域からの検証を受けていない  

    この理論モデルは、外傷性脊髄損傷によって機能不全に陥ったケースの臨床研究と喪失に関する文献研究から成っている。

    対象はショック性危機に陥った中途障害者を想定しており、障害受容に至るプロセスモデルとして構築されたものである。  

    フィンクの危機モデルは、ショック性の危機でしかも身体に障害を残した患者がいかにそれを受容し適応していくか、ということをモデル化したものである。

    「看護とは患者と看護者それぞれが互いに学び、成長していく人間と人間の関係」

    ペプロウは看護を人間関係のプロセスだと考え、患者に対する1回きりの援助は看護ではなく、看護は継続して行われることで形をなすものだと述べている。

    その過程で看護師の人格が患者�
    �大きな影響を与えると考え、さらに患者の人格や意欲、モチベーションを高めていかなければならないとしている。  

    このようなペプロウの看護に対する基本的な理念、考え方は即効性を求める疾患中心の看護を人間中心の看護へと移行させ、看護師独自の役割を明確にしたきっかけになったと言える。ペプロウは人間関係のプロセスで「看護師は患者の自然治癒力を促し、精神的、身体的、社会的な人間として成長へ援助を行わなければならない」と述べている。

    ペプロウ論を活用するための基本用語とその解釈

    ①専門職看護の特性 第1の特性: 焦点は患者にあるということ 焦点とは、つまり人の注意が集まるところである。患者-看護者の関係において注意が集まるのは患者自身である。

    この特性は以下のことを意味する。

    ・看護者が患者に常に関心を払うこと

    ・患者と心を通わせること

    ・患者の心配を明らかにすること

    ・患者を観察したことを明らかにすること

    第2の特性: 傍観観察より参加観察を用いること 傍観とは、ただそばにいて眺めているだけのことに対し、参加観察とは「患者の行動だけでなく自分自身の行動にも注意を払うことである」

    相互関係とも呼ばれる。患者の部屋を訪室し、看護者の問う言葉に対し患者が反応し、看護者がそれにまた答えるというような一連の相互関係。この特性は以下のことを意味する。 ・何かを語る 相手に伝えるメッセージを含んでいる ・患者は何かを問うている 

    「私を認めてくれる?」 「私を大事だと思う?」など 感情を喚起する 第3の特性: 役割の自覚に関するもの

    1. 母親的な対応 患者をあるがままに受け止め、否定的関わりはせずに患者のニードに従順な対応

    2. 友人的 患者と世間的な話し相手となり対人的に友好な関係

    3. 指導者 相手に対し必要な主義や道徳的な道理を諭す

    4. 治療者 看護プランに基づき患者の症状の改善に向けて専門知識をふまえた関わりを持ち対応する

    5. 未知の役割 偏見を持たず節礼を持ち、対人関係を築く初段階

    6. 代理人の役割 依存的な相手に自身で解決できるように行動を導かせる

    7. カウンセラーの役割 患者自身が今自分に何が起こり、その体験が生き方に統合できるよう援助する 看護という業務を進めていくうえで看護者は患者との関係の中で、二次的な「役割」を担っている。

    例えば患者と対応する際に以下のようなものがある。 役割の自覚をすることは患者との相互関係の際に「状況」を見分けるのに役立つ。つまり看護者が二次的にとる行動が患者に必要な看護者の対応である場合もある。

    しかし、患者の状況によってはそれらの役割行動が有益かどうかは判断を要する。

    第4の特性: 探究的なものであるということ 看護者が患者と接し、情報を得るために「発見する能力」、「知ろうとする能力」によって出た答えが、たとえ適切であってもその答えを終結させてはならない。

    患者にあったプラン、対応の仕方は患者が成長する上で変化するものである。成長していく患者やそうでない患者に必要な援助は何かを究明していく。

    「探究的なアプローチ」は対人関係において欠くことのできない要素である

    第5の特性: 理論の適用 理論とは、患者の行動パターンから「あなたの行動には~の意味があるのですね」、「つまり~がおっしゃりたいのですね」というような繰り返し確認された様々な体験から推測された結晶が『理論』である。

    1. 方向付けの段階(出会い) 患者と看護者が出会う時期であり、お互いが緊張状態にある。 患者は切実なニードを持っており、健康問題を解決し始める段階である。

    2. 同一化の段階(求め) 患者が自分のニードの求めに応じてくれそうな信頼できる看護者を選んで反応する時期。 自分の健康問題に興味を示し、看護者と共に解決しようとする準備段階。

    3. 開拓利用の段階(活用) 患者が自分に提供されるサービスを十分に活用する段階。 自分の健康問題を整理し、よりよい問題解決の方向を目指す。

    4. 問題解決の段階(問題解決と別れ) 患者の健康問題が解決され独り立ちの力を強めていく。 病気が完全に治るのではなく、共存できる患者の成熟さが備わった段階。

    患者-看護者関係の4つの段階 ペプロウ理論の特徴に患者と看護者間のプロセスを4段階に分けて考えている。 患者と看護者が出会い、対人関係を構築し、信頼関係を築いていくうえでお互いが共に問題解決に向かっていくプロセスである。

    4.ペプロウの人間関係の看護論

    ペプロウ看護論の特徴 「看護とは患者と看護者それぞれが互いに学び、成長していく人間と人間の関係」 ペプロウは看護を人間関係のプロセスだと考え、患者に対する1回きりの援助は看護ではなく、看護は継続して行われることで形をなすものだと述べている。

    その過程で看護師の人格が患者に大きな影響を与えると考え、さらに患者の人格や意欲、モチベーションを高めていかなければならないとしている。  

    このようなペプロウの看護に対する基本的な理念、考え方は即効性を求める疾患中心の看護を人間中心の看護へと移行させ、看護師独自の役割を明確にしたきっかけになったと言える。ペプロウは人間関係のプロセスで「看護師は患者の自然治癒力を促し、精神的、身体的、社会的な人間として成長へ援助を行わなければならない」と述べている。

    ペプロウ論を活用するための基本用語とその解釈

    ①専門職看護の特性 第1の特性: 焦点は患者にあるということ 焦点とは、つまり人の注意が集まるところである。患者-看護者の関係において注意が集まるのは患者自身である。この特性は以下のことを意味する。

    ・看護者が患者に常に関心を払うこと

    ・患者と心を通わせること




    ・患者の心配を明らかにすること

    ・患者を観察したことを明らかにすること

    第2の特性: 傍観観察より参加観察を用いること 傍観とは、ただそばにいて眺めているだけのことに対し、参加観察とは「患者の行動だけでなく自分自身の行動にも注意を払うことである」相互関係とも呼ばれる。

    患者の部屋を訪室し、看護者の問う言葉に対し患者が反応し、看護者がそれにまた答えるというような一連の相互関係。この特性は以下のことを意味する。

    ・何かを語る 相手に伝えるメッセージを含んでいる

    ・患者は何かを問うている 「私を認めてくれる?」 「私を大事だと思う?」など 感情を喚起する 第3の特性: 役割の自覚に関するもの

    1. 母親的な対応 患者をあるがままに受け止め、否定的関わりはせずに患者のニードに従順な対応

    2. 友人的 患者と世間的な話し相手となり対人的に友好な関係

    3. 指導者 相手に対し必要な主義や道徳的な道理を諭す

    4. 治療者 看護プランに基づき患者の症状の改善に向けて専門知識をふまえた関わりを持ち対応する

    5. 未知の役割 偏見を持たず節礼を持ち、対人関係を築く初段階

    6. 代理人の役割 依存的な相手に自身で解決できるように行動を導かせる

    7. カウンセラーの役割 患者自身が今自分に何が起こり、その体験が生き方に統合できるよう援助する 看護という業務を進めていくうえで看護者は患者との関係の中で、二次的な「役割」を担っている。

    例えば患者と対応する際に以下のようなものがある。 役割の自覚をすることは患者との相互関係の際に「状況」を見分けるのに役立つ。つまり看護者が二次的にとる行動が患者に必要な看護者の対応である場合もある。

    しかし、患者の状況によってはそれらの役割行動が有益かどうかは判断を要する。

    第4の特性: 探究的なものであるということ 看護者が患者と接し、情報を得るために「発見する能力」、「知ろうとする能力」によって出た答えが、たとえ適切であってもその答えを終結させてはならない。患者にあったプラン、対応の仕方は患者が成長する上で変化するものである。成長していく患者やそうでない患者に必要な援助は何かを究明していく。 「探究的なアプローチ」は対人関係において欠くことのできない要素である 第5の特性: 理論の適用 理論とは、患者の行動パターンから「あなたの行動には~の意味があるのですね」、「つまり~がおっしゃりたいのですね」というような繰り返し確認された様々な体験から推測された結晶が『理論』である。

    1. 方向付けの段階(出会い) 患者と看護者が出会う時期であり、お互いが緊張状態にある。 患者は切実なニードを持っており、健康問題を解決し始める段階である。

    2. 同一化の段階(求め) 患者が自分のニードの求めに応じてくれそうな信頼できる看護者を選んで反応する時期。 自分の健康問題に興味を示し、看護者と共に解決しようとする準備段階。

    3. 開拓利用の段階(活用) 患者が自分に提供されるサービスを十分に活用する段階。 自分の健康問題を整理し、よりよい問題解決の方向を目指す。

    4. 問題解決の段階(問題解決と別れ) 患者の健康問題が解決され独り立ちの力を強めていく。 病気が完全に治るのではなく、共存できる患者の成熟さが備わった段階。 患者-看護者関係の4つの段階 ペプロウ理論の特徴に患者と看護者間のプロセスを4段階に分けて考えている。 患者と看護者が出会い、対人関係を構築し、信頼関係を築いていくうえでお互いが共に問題解決に向かっていくプロセスである。

    5.ストレス理論

    ストレス セリエによる定義によれば、ストレスとは、生体系内のあらゆる非特異的変化からなる特異な症候群で表された状態のことである。 つまり、脅威に対する生体の適応反応のことである。 しかし、脅威の如何を問わず、一定の共通した適応反応がみられるというのがポイントである。セリエのストレス概念は、あくまで生理学的なものであった。

    ストレスを引き起こすものを、ストレッサー(stressor)と呼ぶ。 ストレスを心理学的に捉え直し、ストレスの心理学的に作り上げたのが、カリフォルニア大学バークレイ校の心理学教授リチャード・ラザルスである。

    ラザルスは人がその出来事をどのように評価しているかによって、ストレスすの度合いが異なってくることに注目した。 出来事とは、人間とそれを取り囲む環境との間の関係の一つのあり方である。

    ラザルスによれば、心理学的ストレスとは、人間と環境との間の特定の関係であり、その関係とは、その人の原動力に負担をかけたり、資源を超えたり、幸運を脅かしたりすると評価されるものである。

    ベナーたちによれば、ストレスとは、意味や理解や円滑な機能が崩壊して、その結果、危害や欠如や難題が経験され、悲嘆や解釈や新たな技能が必要とされることである。

    ストレス症候群の変化 セリエによれば、ストレス症候群は次の3つの局面を持つ。

    ・警告反応期 ショックによって抵抗力が低下し、ついでショックに対する防衛反応が起こる。

    ・抵抗期 抵抗力が高まった状態。

    ・疲弊期 ストレスが長引き、防衛機構が働かなくなって抵抗力が急激に低下する。  

    ストレスによって、生物はむしろ抵抗力が強くなる。

    ストレスの種類 Ⅰ.身体的ストレス

    ①外的ストレス ・物理的ストレス : 暑さ、寒さ、高気圧、低気圧など ・環境的ストレス : 騒音、照明、ほこりなど

    ・肉体的ストレス : 病気、怪我、長距離通勤など ・化学的ストレス : 空気汚染、食事、煙草、酒など ・生物学的ストレス: 細菌、ウイルス、花粉など ②内的ストレス ・運動関係のストレス : 運動不足、運動過剰など ・食事関係のストレス : 過食、小食、偏食、栄養不足など

    ・睡眠関係のストレス : 睡眠不足、睡眠過剰、夢など ・生活関係のストレス : 不規則な生活、夜更かしなど

    ・その他 : 妊娠による身体的変化、月経など Ⅱ.精神的ストレス ①社会的ストレス ・仕事関係のストレス : 就職、転勤、単身赴任、昇進、左遷、転職、失業、退職、多忙など ・学校関係のストレス : 入学、転校、進学、成績不振など

    ・家庭関係のストレス : 結婚、離婚、同居、別居など ・人間関係のストレス :
     上司、取引先、隣人、嫁姑など ②心理的ストレス ・身体関係のストレス : 疲労、病気、怪我、妊娠、出産など ・喪失体験      : 愛する家族や友人との離別・死別など ・その他       : 将来への不安、恐怖、怒り、失恋、失敗、挫折など





  • 膵臓がんの看護計画や解剖生理など解説しますよ〜

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    実習などで比較的、出会う疾患の一つでもある膵臓がんの看護計画について解説したいと思います!
    なかなか、内分泌系の疾患は難しい・・・と困惑される看護学生さんが多いと思いますが、膵臓がんと膵臓の機能を一緒に覚えると国試対策にもなりますので、しっかりと覚えておくことをおすすめします!

    吹き出し イラスト6

    それでは、膵臓がんの看護計画や解剖生理など解説しますね!




     

    1.膵臓とは

    膵臓は後腹膜にあって、上腹部のみぞおちと臍の中間あたりから左上方にかけて存在しています。よく看護学生さんに膵臓の位置を聞くと、肝臓を指す方がいらっしゃるのでしっかりと位置は確認しましょうね汗

    膵臓は細長い臓器で、頭部、体部、尾部に分けられます。

    頭部では幅5cm、厚さ2cmぐらいで、尾部に向かって細くなり、長さは15cm前後。

    隣接する主な臓器として、頭部では十二指腸、胆管、門脈、下大静脈、体部では脾動静脈、胃、大動脈、尾部では脾臓、腎臓、大腸があります。 この部分はよく国試に出題されますのでしっかりと覚えておきましょう!

    したがって、手術など外科的な処置をする際には、これらの諸臓器、脈管との関連なくして膵臓の処理ができないことが大きな特徴となります。  

    膵臓は血流、神経分布が豊富で、食物を消化する消化酵素であるアミラーゼ、リパーゼ、トリプシノーゲンを含んだ膵液を分泌する外分泌機能と、血糖の調節に必要なインスリン、グルカゴンなどのホルモンを分泌する内分泌機能を併せ持っています。

    内分泌機能は膵臓内に点在するランゲルハンス島が担っている。膵液は膵管を通って十二指腸に分泌されます。

    膵臓がん1 

    1-1.膵(臓)がんとは

    単に膵がんという場合は、膵管から発生し、充実性の腫瘤を形成して浸潤、転移を起こしやすい膵管がん(通常型膵がん)を指します。

    膵臓のがんの90~95%を占めており、消化器のがんのなかでも治りにくいがん(難治がん)の代表として知られていますね。

    膵がんの発生率は胃がんや大腸がんに比べ1/3~5程度にもかかわらず、国内におけるがんによる死亡原因の第5位を示しています。

    難治がんである原因は、膵臓がんには特異的な初発症状がなく、膵臓がんと診断された時には大半が高度に進行しており、既にがんが膵臓の周囲の重要臓器に拡がっていたり、肝臓などの他臓器にがんが転移していて、7割から8割の方は外科手術の適応にならないこと、また、たとえ切除可能であっても早期に再発を生じることが多いことが挙げられます。そのため症状が出た際は、もう手遅れなんてことも・・・

    膵臓のがんには他に、膵臓には嚢胞を形成するがん、粘液分泌が盛んながん、ランゲルハンス島から生じたがんなど、比較的予後の良いものもあります!

    2.膵臓がんの疫学

    膵がんは危険因子として、肉食、喫煙、排気ガス、化学物質などが挙げられますが、統計学的に明らかに関係が証明されている因子はないとされています。 今後、国があげて行っているAIによる疾患・症状の統計学習で膵臓がんの原因因子が明らかになるかもしれませんね! 医療系ニュースはしっかりと見ておきましょう! 時に国試に出題されることもあります!

    日本では、男性にやや多く、他のがんと同様に50歳以上になるとその発生頻度は増加しています。

    膵がんは病巣占拠部位より、膵頭部がん、膵体尾部がん、膵全体がんに分けられるが、膵頭部がんは膵体尾部がんより2,3倍多く、膵全体癌は最も少ない。
    発生部位によって症状が変わってくるので、すべて同じというわけではない。

    最も多く見られる膵頭部がんでは、左上腹部痛や背中の左側の痛み、下痢、体重減少、黄疸といった症状が見られます。
    膵体部がんや膵尾部の場合には兆候が出るまでに時間がかかる傾向があり、進行すると腹水がたまることや、背中の痛み、食欲不振が見られるようになります。

    膵臓癌の治療を行う場合にも、部位は関係しており、手術を行う場合に切除する範囲が変わります。一般に膵頭部に対しては、胆管、胆嚢、十二指腸、空調の一部をともに切除する方法か、これに胃の一部を追加する方法が取られます。

    膵体部がんや膵尾部に対しては、膵尾側切除や膵全摘術を行われることが多いです。  

    どの部位に該当するかによって、同じように膵臓癌だと思っていても、多少の違いが出てきますので、どの部位なら生存率が高いということはなく、難治がんとしての性質は共通して持っています。

    3.膵臓がんの症状

    症状は腹痛と黄疸が多く、次いで食思不振、腰背部痛、全身倦怠感、体重減少などで、特徴的な症状が乏しいのが、診断の遅れにつながっています。 

    膵がんではその病巣占拠部位により、臨床症状が異なります

    膵がんの60%は頭部にできるが、膵頭部には胆管が通っているため、膵頭部のがんでは胆管が狭くなって胆汁の流れが悪くなり、黄疸が生じやすいのが特徴にあります。

    この他、膵頭部がんでは、上腹部痛、背部痛、食思不振、全身倦怠感、心窩部不快感、腹部膨満、体重減少など一般的な消化器症状と同様な症状が表れます。

    がんが進んでくると、腹水、消化管出血がみられることがあります。  

    膵体部や尾部のがんでは、膵頭部がんと比べその場所から胆管に影響が及びにくいので黄疸も出現しにくく、その発見はさらに遅くなることが多く、診断された時点では、手術不能と言う場合が多くある。症状としては、上腹部痛や腰背部痛が多いですが、体重減少、腹部膨満、便秘、下痢、糖尿病の悪化など不定な症状が多く、たまたま別の病気でCTや超音波検査をされた場合に見つかることも多くないとされています。がんが進むと腹部腫瘤や腹水がみられることもあります。 なお、慢性膵炎の症状も膵がんとよく似ており、慢性膵炎の場合も、膵がんの検査を行う注意が必要です。

    📌ポイント

    末期症状

                                          
    膵臓がんは、血管やリンパの流れに乗って、遠隔転移しやすいがんである。他の臓器に転移すると「ステージⅣ」、つまり末期の段階になる。 血流から、肝臓がもっとも転移しやすい臓器である。

    しかし肝臓はかなり病巣が大きくならないと症状が現れにくいという特徴がある。
    黄疸や痛みといった症状が出てくるころには、がんがかなり広がっている状態になる。 他には、骨や肺、脳などにも転移する。骨に転移した場合は、何もしていないのに骨が急に折れる「病的骨折」や、激しい痛みなどがみられる。

    肺では、すぐに息が上がるようになる、しつこい咳が出る、などの症状が特徴的である。 脳は、転移した部位によってさまざまな症状が考えられるが、ろれつがまわらない、吐き気がする、運動障害が起こる、などの症状がある。

    📌ポイント

    腹水貯留

                                            
    はじめに腹水とは・・・


    お腹の中は、内臓が背骨を中心に後ろ側にくっついており、その表面を腹膜(ふくまく)という膜がおおっている。

    その腹膜は、上下左右の端で折り返して、お腹の壁の裏側(へその裏側)をおおっていて、全体として袋の形をしている。
    この中には、病気がなくても数十ミリリットルの腹水が常にあり、お腹の中で腸が動く時に潤滑油の働きをしている。腹水は腹膜から少しずつ出てきて、再び腹膜から吸収され、通常は一定の量を保っている。

    ところが何らかの原因で、できる腹水よりも吸収される腹水の方が少なくなると、次第に腹水の量が増えてくる(黄色で示してあるのが腹水)。腹水が多くなると、お腹の中の内臓や上にある肺を圧迫して、苦しい症状が出てくる。「お腹が張る」「みぞおちが苦しい」「息が苦しい」などの症状が現れることがある。

    📌ポイント

    <なぜ貯まるのか>

    できる腹水より吸収される腹水が少ないと腹水が貯まってくる。その理由はいくつかあるが、吸収が少ない場合と、できる量が多い場合、流れが妨げられている場合がある。

    1)吸収が少ない場合  吸収が少なくなる原因で一番多いのは、血液の中のタンパク質が少ないことである。血液の中には「アルブミン」というタンパク質があり、血管の中に水分を保ったり、水分を血管の中に引き込む働きをしている。アルブミンが少なくなると、一度血管の外に出た水分(腹水やむくみなど)を血管に引き戻す力が足りなくなり、腹水が少しずつ増えてくる。  アルブミンを作っているのは肝臓。そのため、肝臓の力が弱くなると、腹水が増えやすくなる。

    2)できる量が多い場合  できる量が多くなるのは、腹膜の状態に異常が起きている場合が多い。細菌などの炎症があるとか、ただれているとか、腹膜に病気が広がっているなどの場合である。

    3)流れが妨げられている場合  腹水は腹膜から吸収されて、血管やリンパ管を通って血液の水分に戻る。この排水の仕組みのどこかで流れが妨げられると、腹膜に異常がなくても吸収できなくなる。流れが妨げられる原因には、肝臓のあたりの血管に原因がある場合、心臓に原因がある場合、リンパ管に原因がある場合などがある。

    📌ポイント

    腹水の治療

    腹水の治療は、原因や症状によりさまざま。  
    原因が取り除ける場合(細菌の感染など)には、原因の治療を行う。そうでない場合は、腹水で苦しくならないように、いくつかの治療がおこなわれる。  もっとも多く治療に使われるのは、利尿剤。利尿剤は、尿を多くする薬。血液の中の水分を尿に出すことで血液のアルブミンなどを濃くして、腹水の水分がより多く血管の中に戻ってくるように働く。  利尿剤を使っても腹水が増えてくる場合には、腹壁を刺して直接腹水を抜く(腹腔穿刺)治療をする。 

    腹水を大量に抜いたあとは、腹水が抜けたことで血管から腹水側に水分が移動しやすくなる。急激に移動すると、血管の中の水分が足りなくなり脱水状態になる。これを防ぐためには、抜く腹水の量1リットルあたり6~10グラムのアルブミンを点滴で補充することが有効といわれている。  

    腹水の貯まる原因ががんの場合には、腹腔内に抗がん入れる治療が、腹水を減らすのに効果があることがある。1回の治療で貯まらなくなる人は多くないが、数回繰り返すと貯まらなくなることが多いと報告されている。

    📌ポイント

    膵臓がんと腹水の関連

    すい臓がんが進行すると、腹腔内に「腹水」がたまることがある。 おなか�
    �張って苦しくなる、食欲低下や呼吸困難がみられる、などが主な症状である。患者さんの体力などを考慮しながら、腹水を抜く処置が行われる。

    すい臓がんが悪化すると、「癌性腹膜炎」を起こすことがある。腹腔内に、がん細胞が散らばるようにして広がり、腹膜が炎症を起こした状態である。 膵臓を含めた消化器系の臓器や、婦人科系の臓器のがんが末期になるころに、よくみられる症状である。 癌性腹膜炎になると、腹水がたまりやすくなる。炎症を起こしたところから、体液が漏れてしまうためである。

    腹腔(おなかの臓器と臓器の間)には、つねに20~50ミリリットルほどの水がたまっているが、この量が異常に多くなると臓器を圧迫して、はたらきを悪くしてしまう。

    腹水がたまると、おなかがぽっこりと膨れ、息苦しくなることによって自覚できる。胃が圧迫されて食欲が落ちることもある。 膵臓がんで腹水がたまる状態になると、やはり一般的には末期といえる。高齢者に多いがんのため、腹水を抜く処置をして苦痛を軽減しながら、緩和ケアへ移行する患者さんが多くみられる。

    4.膵臓がんの検査・診断

    膵がんの検査は、血液検査、画像検査、内視鏡検査、組織検査に分けられる。
    ・血液検査では膵酵素(アミラーゼ、エラスターゼ1など)の上昇、腫瘍マーカー(CEA、 CA19-9、DUPAN-2など)の上昇、胆道酵素(ALP、γGTPなど)の上昇、耐糖能異常(血糖、HbA1cなどの上昇、インスリンの低下)が膵がんを疑う参考になる。

    ・腫瘍マーカーはがん自体から血液中に放出されるCEA、CA19-9、DUPAN-2を測定するもので、早期の小膵癌ではあまり高値とはならないことが多いため、腫瘍マーカーでの早期発見には限界があるとされている。

    ・膵酵素(アミラーゼ、エラスターゼ1など)の上昇や耐糖能異常(血糖、HbA1cなどの上昇、インスリンの低下)はがんに附随する膵炎によるものであり、胆道酵素(ALP、γGTPなど)の上昇はがんによる胆管の圧迫によるものと考えられる。しかしながら、これらの検査は、必ずしも膵がんに特徴的なものではない。

    ・画像検査では腹部エコー、MRIで膵に腫瘍が見つかることが多く、診断上重要である。特に、腹部エコーは簡便で、非侵襲であるため、膵病変のスクリーニング検査として有用である。 ・最近では、PET検査も膵がんの発見のために行われるようになっており、慢性膵炎との鑑別に利用される場合もある。

    これらの画像検査は、ある程度の大きさ(だいたい直径1cm以上)がないと腫瘍かどうか明らかにならないために、本当の意味(完全に治る可能性がある)の早期がんを見つけることはできない。早期膵がんを見つけるためには、膵管の拡張や小嚢胞と言った間接的な所見を慎重に調べなければいけないといわれている。

    膵臓がん2 

    膵臓がん3 

    なお、黄疸(閉塞性黄疸)をきたしている場合、診断と黄疸の治療を兼ねて体の外から肝臓を内の胆管を穿刺する経皮経肝胆管造影と胆汁ドレナージ(PTCD)が行われることもあるが、次に説明する内視鏡検査によっても胆管や膵管の造影やドレナージが可能であり、そちらを行う場合もある。

    この他、お腹の中の血管を造影する血管造影検査も行われる場合もあるが、最近では、CT検査でその画像を加工することによって、血管の走行やがんの広がりがはっきり判るようになり、侵襲的で得られる情報もそれほど多くない血管造影はほとんど行われなくなっている。


    内視鏡検査には、十二指腸内視鏡を用いて、直視下に十二指腸乳頭開口部より細いチューブを挿入し、造影剤を注入することにより胆管、膵管を造影する内視鏡的逆行性胆管膵管造影法(ERCP)やチューブではなく細い経の内視鏡を直接膵管に挿入する膵管鏡、内視鏡先端に超音波振動子を装着し、内視鏡直視下に胃や十二指腸の管腔内より超音波検査を行い、膵の情報を得ようとする超音波内視鏡などがある。

    これらは、主として腫瘍の性質や広がりをみる精密検査として行われる。また、ERCPの際に膵液や胆汁を採取して細胞診断を行い、がんであることの確定診断を行う。  

    組織検査には腹部に針を刺して腫瘍組織の一部を採る針生検、先に述べた内視鏡を使って膵管から組織を採取する方法などがある。針生検はがん細胞を採取時に腹部の中にがん細胞を飛び散らす可能性があるとして、国内ではあまり一般的ではないが、がんの確定診断を行うためには重要な検査である。  

    前述の症状とこれらの検査所見を総合して膵がんの診断が行われる。  

    膵に腫瘍があること、その腫瘍ががん以外の原因によるものではないことをまず確定する。 つぎに腫瘍の大きさと、周辺臓器への浸潤やリンパ節、肝臓、肺などへの転移の有無を調べる。 これによって次に述べる進行度を決定し、治療方針決定する。

    5.膵臓がんの進行度・病期と治療成績

    進行度は腫瘍の大きさと、周辺臓器への浸潤、転移の有無によって決められ、ステージIからIVbに分けられている。  

    膵がんの約8割はステージIVの最も進んだ状態で見つかり、胃がんや大腸がんでは治癒が期待できるステージIの状態で診断されるのは1.7%です(日本膵臓学会膵癌登録20年総括)。

    しかしながら、膵がんでは、ステージIの状態で診断されてもその治療成績は不良である。 日本膵臓病学会の膵癌登録過去20年間の膵がんの症例の治療成績(5年生存率)をステージ別に示すと、ステージI:57%、ステージII:44%、ステージIII:24%、ステージIVa:11%、ステージIVb:3%となっています。 がんが膵管上皮に限局している場合(stage0)は、5年生存率はほぼ100%期待できますが、このような状態でみつかるのは、たまたま膵の嚢胞などを手術した際に、見つかるという場合がほとんどで、最初から膵管上皮に限局した早期膵がんを発見することは容易なことではない。

    膵臓がん4 

    6.膵臓がんの治療

    膵臓がんの基本的な治療は、他の胃がんや大腸がんといった消化器がんと同様に、周囲の正常と思われる組織を含めたがん病巣の外科的切除である。

    しかしながら、膵臓がんと診断された7割から8割は診断時に既に切除手術の対象とならないほど進行しており、その場合は、症状改善を目指した手術や処置とともに抗がん剤による治療や放射線による治療、またはその両者が行われる。

    📌ポイント

    手術

    膵がんの外科的切除が適応となる条件として、

    1) 肝臓や肺などの膵臓以外の臓器にがんが転移していない場合。

    2) お腹の中(腹膜播種)にがんが広がっていない場合。

    3) 重要な臓器を栄養する大きな血管にがんが広がっていない場合。

    膵臓は後腹膜に位置し、重要な血管に近接していると言う特徴がある。
    胃がんや大腸がんと異なり簡単にその臓器だけを摘出できる部位ではない。 重要な血管として、腹部大動脈、腸を栄養する上腸間膜動脈や肝臓などを栄養する腹腔動脈、総肝動脈、固有肝動脈が挙げられる。

    しかし、腸で吸収された栄養分を肝臓へ運ぶ血管である門脈へがんが広がる場合は、その部位を切除して血管をつなぎ合わせる事が可能ならば、手術の適応となる。先に述べた1)~3)のどれか一つでも満たされない場合は、たとえ目に見える範囲で外科的にがんが摘出できても手術後直ぐにがんが再発するために、大きな負担をかける手術の価値が無いと考えられ、手術の適応が無いと判断される。 膵臓がんの切除法は、他のがんの場合と同じように基本的にはがんの部分だけ摘出するのではなく、がんが広がっている可能性のある周辺の臓器やリンパ節を一緒に摘出する必要がある。切除範囲は、がんの存在する部位によって異なり、がんが膵頭部にある場合は、膵頭十二指腸切除術が、体部や尾部に存在する場合は体尾部切除が行われる。

    膵臓がん5 

    膵臓がん6 

    膵臓がん7  

    通常の膵癌に対する膵頭十二指腸切除の場合は、リンパ節の摘出も同時に行うため、手術時間は6~10時間かかる。

    体尾部切除の場合は、3~4時間程度の手術時間である。 術後の合併症として、早期のものとして膵空腸吻合部の縫合不全などの消化管縫合不全、膵断胆からの膵液漏が、長期的なものとして、糖尿病や消化吸収障害がある。 がんによって胆道が狭窄して黄疸が生じている場合は、黄疸を解消するため胆管空腸吻合術や胆嚢空腸吻合術が行われる。なお、手術をせずに内視鏡的、あるいは経皮経肝的に閉塞した胆道にチューブを留置する場合もある。

    がんが十二指腸に拡がり十二時腸を閉塞して食物の通過障害が生じている場合は、胃空腸吻合などの手術が行われる事がある。 また、根治的な手術が可能と判断し開腹しても、肝転移や腹膜播種などの手術前に判定できなかったがんの拡がりが見つかった場合は、切除は行わず、姑息的手術や術中放射線照射、背部痛に対して神経ブロックを行うことがある。

    📌ポイント

    化学療法

    化学療法とは、抗がん剤を使った治療のことをいう。根治的な手術が不可能な場合や手術の後に再発が認められた場合は、抗がん剤による治療が行われる。

    📌ポイント

    放射線療法

    手術が不可能でがんが局所のみに広がっている場合は、放射線療法が行われことがある。従来は入院を必要としたが、最近では外来通院で行えるようになっている。 膵臓がんが存在する部位に対して体外から通常一日一回の少量の放射線照射を行い、総照射量として45~60Gyの照射を4~6週間かけて行う。一回の照射にかかる時間は僅か数分である。

    なお、一度に多くの放射線照射を行いより高い治療効果を得るために、手術で開腹して直接放射線照射を行う術中照射と言う方法を行うこともある。現在のところ、体外から照射を行う方法と術中照射のどちらが治療効果が高いかは、はっきりしていない。また、放射線療法のみで延命効果が得られとする確立された報告はないが、背部痛などの症状を和らげる効果に優れているといことは認められている。  

    放射線療法は、あくまでも局所の治療なので、切除不能がんや再発がんなど、既に膵臓以外にがんが広がっている場合には、あまり効果が無いと考えられている。したがって、最近では、抗がん剤と放射線療法を組み合わせた治療(放射線化学療法)が行われる。

    放射線療法の副作用として、体外から照射する場合は、どうしても膵臓がんの周囲にある胃や腸にも放射線が照射されますので、それによる炎症や潰瘍出血などが生じる事がある。術中照射の場合は、開腹して直接がん部のみに照射するので正常組織には影響は少ないと言われている。

    膵臓がん8 

    📌ポイント

    TS-1について

                                       
    効果発現および副作用発現のメカニズムが解明されており、広くがん治療に使われている抗悪性腫瘍剤5-FU。ティーエスワンはこの5-FUのプロドラッグであるテガフール(FT)に2つのモジュレーター、ギメラシル(CDHP)とオテラシルカリウム(Oxo)を配合することにより、5-FUの効果を高め、副作用を軽減することを目的として開発された経口抗悪性腫瘍剤である。

    副作用


    ティーエスワンは胃癌をはじめ、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌に効能を有し、その有効性及び利便性から広く使用されているフッ化ピリミジン系の抗悪性腫瘍剤である。 ティーエスワンの承認時までの臨床試験における副作用発現率は単独投与で89.3%(671/751例)、非小細胞肺癌におけるシスプラチン併用投与では100%(55/55 例)であり、ほぼ全例に何らかの副作用が発現している。 そのため、ティーエスワン投与の継続性を高めるためには、いかに副作用をコントロールするかが重要となる。

    📌ポイント

    悪心・嘔吐

    ティーエスワンによる悪心・嘔吐は投与開始早期から発現することが多く、患者にとって最もつらい副作用の一つである。 処置としては、メトクロプラミド、ドンペリドンなどの制吐剤を投与する。ティーエスワンでは悪心・嘔吐に対する予防投与が行われることはほとんどないが、状況に応じてデキサメタゾン、メトクロプラミド、ドンペリドンなどを併用投与することも必要である。

    また、患者にこれらの薬剤を処方して持たせ、発現したら直ぐに服用させ遷延化しないようにするなどの早期対応が重要である。なお、嘔吐時には脱水に注意することも必要である。

    📌ポイント

    下痢

    ティーエスワンによる下痢は投与開始1~4週目に発現が多く、激しい下痢の場合に脱水症状まで至ったとの報告がある。 下痢が発現した場合には重篤化しないよう減量・休薬を考慮するとともに止瀉剤を投与するなどの対応が必要である。

    また、脱水、電解質異常、低栄養にも注意する必要がある。

    📌ポイント

    口内炎

    ティーエスワンによる口内炎は投与開始2~3週目に多く発現している。

    口内炎が発現すると、疼痛ばかりでなく、それに伴う食事摂取の意欲低下や、治療継続の意欲低下などのQOLの低下につながる。また、二次感染のリスクが高まり、症例によっては重篤な推移を示す場合もある。 投与開始時から定期的に口腔内異常の有無を必ず確認し、異常が認められ
    た場合にはティーエスワンの休薬・減量を実施するとともに、疼痛軽減、炎症対策、感染予防のために、含嗽や軟膏の使用などの適切な処置を行う。

    📌ポイント

    食欲不振

    ティーエスワンによる食欲不振は投与開始後1~2週目の投与早期から発現する。 一般に食欲不振は他の副作用に随伴して起こることが多く、悪心・嘔吐、下痢、便秘、腹部膨満感などの消化器症状によるもののほか、味覚・嗅覚異常、全身倦怠感、精神的な原因によることも考えられる。 食欲不振が発現した場合には遷延化させないために、それぞれの原因に対して早期から対策を講じる必要がある。また、食事そのものについても工夫が必要で、食べやすい食事を用意するのはもちろん、気分の良いときに食べることが出来るように、いつでも食べられる用意をしておくなどの工夫も重要である。

    📌ポイント

    味覚異常

    ティーエスワンによる味覚変化、味覚異常、味覚減退、味覚消失などの味覚障害の報告が増加している。しかし、その発現機序が明らかでないため、治療法は確立されていない。ティーエスワンの休薬あるいは投与中止によりほとんどの症例では回復・軽快している。

    📌ポイント

    色素沈着

    ティーエスワン投与後2~3週目頃より顔面、爪、手、足などに色素沈着が発現することがある。現在のところ治療法は確立しておらず、ティーエスワン投与中は症状が軽快することはないが、投与中止により多くの症例でやがて軽快している。

    📌ポイント

    発疹

    ティーエスワンによる発疹は、投与開始直後より見られ、2週目で発現が多く見られる。その殆どは投与中止や対症治療により改善している。

    投与方法


    胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌の場合 朝食後および夕食後の1日2回、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。 これを1クールとして投与を繰り返す。

    膵臓がん9 

    7.膵臓がんの看護計画

    膵臓がんの看護問題についてご紹介します! 本来、インターネットなどで膵臓がんの看護計画を調べられた看護学生さんはそのまま丸写しして提出しても指導者さんや、教員から返されます。

    なぜかというと、看護学生さんが行える看護問題にしなければいけないのと、個別性をより重視されるからです。 急性疼痛のリスクをあげて、看護計画にオピオイド投与する・・・なんて書かないでくださいね汗

    まだ、その判断は看護学生さんには出来ない事柄になります。 では以下に看護学生さん向きに看護問題についてご紹介します!

    #1 癌性疼痛、腹部膨満・浮腫・倦怠感に伴う体動困難・活動耐性能低下、および薬物の有害事象や肝・腎機能障害によるせん妄(予測的問題)に関連した転倒・転落のリスク

    #2 癌性疼痛・麻薬・腹部膨満・浮腫に伴う体動困難に関連したセルフケア不足

    #3 麻薬使用(および抗がん剤使用)による食欲不振に伴う低栄養状態、血液凝固能低下による出血傾向、浮腫による免疫能低下や皮膚の脆弱性に伴う易感染状態および長期臥床・体動困難に関連した褥瘡のリスク

    #4 癌の肺転移による肺機能低下、貧血による酸素供給不足、腹水貯留による呼吸運動低下、麻薬による呼吸抑制に関連した呼吸困難(予測的問題)

    #1 看護目標


     体動による疼痛の増強がなく、安楽な体位でセルフケアの不足を補うことができる。

    期待される結果


     ・全身の皮膚が清潔になる。 ・爽快感を感じる。 ・体動による疼痛の増強がない。

    具体的援助計画


     観察項目(O-P)
    1.皮膚・粘膜状態

    ①皮膚の乾燥・湿潤

    ②発赤や褥瘡の有無

    ③陰部・肛門部の皮膚の発赤やただれの有無

    2.疼痛

    ①腰痛の有無・増強の有無

    3.自力体動
    ①自力で行えることはないか。

    ②促しや介助によって自力でできることはないか。

    援助計画(T-P)

    ①安楽な体位(ベッド上座位や端座位、または臥位など)で実施する。

    ②ふらつきがある、疼痛が強いときは介助者2名で行う。

    ③浮腫のある皮膚は強くこすらない。

    ④手順(臥位で行う場合)

    ・空腹時、食後は避ける。
    ・室温は24±2度、風が当たらないように室内環境を整える。
    ・カーテンをし、プライバシーに配慮する。
    ・清潔援助を行うことを説明する。 ・上半身を脱衣する。
    ・両上肢を拭く。末梢から中枢に向かって拭く。
    ・右側臥位にし、背部を拭く。 ・左側臥位にし、背部を拭く。
    ・上衣を着る。 ・ズボンを脱衣する。
    ・臀部の下に防水シーツを敷き、石鹸をつけ泡立て陰部を洗浄する。
    ・右側臥位して、肛門部を石鹸で洗う。黄のタオルで水気を取る。
    ・陰部洗浄をしている間にもう1名で下肢を拭く。
    ・下肢を着衣する。

    衣類のしわを伸ばし、体位を整える。 (ベッド端座位で実施する場合)
    ①端座位になるよう促す。

    上体が倒れないようにふらつきがあるときは背部や下肢を支える。
    ②顔面を拭くように促す。拭き残しは介助する。

    ③上衣のボタンを外すよう促す。

    ④上衣の袖を脱ぐよう促す。

    ⑤肌着を脱ぐよう促す。

    ⑥背部に蒸しタオルを当てる。背部を拭く。

    ⑦胸部・腹部、腋窩・両上肢を拭く。

    ⑧肌着・上衣を着るよう促す。

    ⑨上衣のボタンをかけるよう促す。

    ⑩ベッド上臥位へ促す。

    ⑪ズボン・下着の脱衣を介助する。腰部を浮かすよう促す。

    ⑫両下肢を拭く。

    ⑬陰部・肛門部を拭く。

    ⑭下着・ズボンを着衣する。腰部を浮かすよう促す。

    ⑮上下の寝衣を整�
    �る。

    教育計画(E-P)


    ①疼痛の増強、悪心が出現したときは直ちに報告するよう指導する。

    ②冷感があるときは、「寒い」と報告するよう指導する。

    一部ではありますが、ご紹介しました! 反響があり次第、追加で執筆したいと思います!

  • 周手術期 術直後 標準看護計画

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    今回は、周手術期の術直後の看護について解説したいと思います! 周手術期の患者さんを受け持つ場合、展開が早く、術前、術中、術後の看護のアセスメントを素早く行う事が必要になります。

    しかし、学生さんは事細かく一つ一つアセスメントした内容を記録していかなければなりません。 下記のリンクでは一つ一つの観察項目や根拠、アセスメントの内容について記載されているので、そのままアセスメントや記録に内容を変更せず添付することができます。

    吹き出し イラスト6

    周手術期 術直後 標準看護計画について紹介しますね



    ■目次

     ●1.看護目標 術直後

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    1.看護目標 術直後

    看護目標


      1.安全に覚醒できる。

    2.合併症、呼吸抑制を生じず安楽に呼吸ができる。

    3.創痛が緩和され合併症を併発しない。

    4.術中より体温が保持され、術後スムーズに経過する。

    5.後出血などが早期に発見され、速やかに処置が受けられる。

    6.スムーズにかつ安全に退室できる。

    看護上の問題


      麻酔からの覚醒時、失見当識状態のため不安、恐れをもち体動がみられる可能性がある。

    期待される結果


      安全に覚醒できる。


    具体的計画


    観察項目(O−P)

    1.意識状態

    2.体動の有無

    3.呼吸状態(自発呼吸の有無)

    4.バイタルサイン

    援助計画(T-P)

    1.痛刺、声掛けにて刺激し、手術が終了したことを告げる。

    2.抑制を十分にする。

    3.輸液ルート、ドレーンなどの固定、整理を十分に行う。

    4.覚醒後、挿管中のため声がでないことなど状況を説明する。

    5.スタッフ間の言動に注意 6.患者の側から離れない。

    看護上の問題


    抜管後、麻酔薬、声門浮腫等により呼吸抑制を起こす恐れがある。


    期待される結果


     合併症、呼吸抑制を生じず安楽に呼吸ができる。

    具体的計画


    観察項目(O-P)

    1.呼吸状態:呼吸数、音、動き、パターン、呼吸苦、舌根沈下の有無

    2.バイタルサイン

    3.一般状態、チアノーゼ

    4.覚醒状態

    5.嘔気、嘔吐、誤嚥の有無 援助計画

    (T-P)

    1.麻酔医による酸素投与

    2.場合により気道確保の介助:肩枕、エアウェイ、気管内挿管用具の準備

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    術前訓練 パンフレット



  • 精神看護学 精神保健福祉法 どのように看護と結びつけるのか  

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    精神科実習では、主に開放病棟、閉鎖病棟と別れており、他の科とは違う「行動制限」という言わば、人権の制限を行う事が認められている特殊な科となります。

    人権の制限が係る問題や倫理的配慮、法的根拠と看護との結びつきを頭に入れ実習に挑めるようにしましょう。 法的根拠なくしては精神科看護・医療を行えないですし、実習元でも精神科特有の法的根拠に基づく看護の実践は幅広く行われているので、指導者や受け持ち看護師から質問されても答えられる、質問できるようにしておくと評価があがります!

    吹き出し イラスト6

    精神看護学 精神保健福祉法 どのように看護と結びつけるのかについて紹介します!



    1.精神保健福祉法ってそもそもなんだろう?

    ここでは精神保健法と看護の関わりにおいて重要な箇所を抜粋して説明したいと思います。

    絶対に覚えておかなければならない内容は 「入院形態」となります。

    ☆任意入院

    ☆医療保護入院

    ☆措置入院

    ☆緊急措置入院

    ☆応急入院

    以上の5つの入院形態しかありません。

    この5つをしっかりと頭にいれましょう。 この5つの入院形態では書面による告知などで人権配慮規定を適用されるます。 例えば、「医療保護入院に係る同意書」などになります。 しっかりと本人の著明と医師の著明があります。 

    そして、一番特徴的といえるのが、弁護士や手紙などについて行動制限は絶対にかからないと記載されている点になります。 精神保健福祉法で学生さんが絶対に覚えておく点は以上になります。 看護学生さんが国試や実習で求められる精神保健福祉法の内容は入院形態ぐらいですので安心してくださいね! それでは、入院形態について詳しく解説したいと思います。

    精神科実習は他の領域別実習と比べて、セルフケアレベルが高く保たれており、受け持った患者さんに何を看護していけば良いか迷う事があると思います。 学生さんがそう思ってしまう原因として、目で見える疾患ではないので何が疾患によって障害されているのか分からない点が上げられます。

    そのため、精神科実習では何を焦点を当てて看護していけば良いのか非常にわかりづらいものとなります。 ですので、事前に精神科実習とは何か? 目標は? 目的は? 何を見なければいけないのか・・・・など含めて学習を深めて行く必要があります。

    2.入院形態について

    任意入院(原則的な入院形態) 任意入院の手続きとしては、精神病院の管理者は入院に際し患者に「入院に際してのお知らせ」(退院請求や都道府県への連絡先、病状によっての行動制限などを記載した書面)を交付して説明を行わなければならない。

    また、「任意入院同意書」を入手しなければならない。

    患者本人の同意に基づく任意入院であること。

    手紙やはがき等の受発信の自由(ただし危険物などの同封の疑いのある時は別)

    ③ 人権擁護の行政機関の職員、弁護士との連絡・面会は自由

    原則として開放処遇、治療上必要な場合には開放制限もありうること。

    任意入院の退院は自由、しかし指定医の診察で入院継続もありうる。

    ⑥ 入院や処遇に納得がいかない場合は、保護者または都道府県知事(連絡先明記)に退院や処遇改善を請求できること。

    任意入院患者の処遇 任意入院は、自らの同意による入院であるので開放病棟での処遇や、閉鎖病棟においても本人の申請により病棟外への出入りを可能にするなど、開放的な環境での処遇が原則となる。  

    ただし、自殺行為・自傷行為の可能性があるため、入院治療の継続・確保が困難で、かつ、病状経過・予後に著しく悪影響を及ぼすような病状変化があれば開放処遇の制限が必要となる。

    その場合には「開放処遇の制限を行うに当たってのお知らせ」(その理由を告知する書面)を交付して、一定期間の行動を制限して閉鎖処遇とすることができる。 そのあと、病状が安定すれば閉鎖処遇は解除され開放処遇となる。  

    任意入院患者に対する退院制限    

    任意入院患者は退院も本人の意思に基づくことが原則であり、退院請求があったときにはその者を退院させなければならない。 しかし、患者から退院請求があった場合でも、精神保健指定医が患者の医療及び保護のために入院継続の必要性があると判断したときは、精神�
    �病院の管理者は「入院継続に際してのお知らせ」で告知し、任意入院患者が退院の意思が明らかにした時点から72時間以内に限り退院制限を行うことができる。

    この72時間以内に、継続して入院治療する必要性を患者に説明し納得を行うことや、医療保護入院へ移行するため家族などから同意を得ること、退院について家族などとの連絡調整に充てることになる。

      まとめ

    ☆任意入院の患者さんは原則として開放観察

    ☆患者さんが退院したいと言ったら真っ先に指導者さんに報告しましょう。

    ☆退院請求をしたからといって退院できるわけではないです。

    というここまでが任意入院の基本事項となります。 看護として任意入院患者さんはどのように接すれば良いのか 基本的に任意入院患者さんは自発的に病院に来院し入院されています。 自発的に入院を希望されたということは、病識があり、しっかりと自分の意思で病気を治そうと思っている事と繋がります。

    措置入院(第29条) 措置入院は「自傷他害の恐れの有無」がポイントとなる。 例えば、警察官などが入院させなければ自傷他害の恐れがある精神障害者を発見した場合は、保健所長を経由して都道府県知事(指定都市の市長)へ通報することになる。  

    自傷他害の恐れのある精神障害者に対する医療との保護のための通報・申請は以下の通りである。  通報義務    

    29条通報
    ・警察官(警察官職務執行法により保護したとき)

    ・検察官(被疑者を精神障害の疑いで不起訴処分などにしたとき)

    ・保護観察所長。矯正施設長(拘置所、刑務所、少年院など)

    緊急措置入院(第29条の2)  

    道府県知事は自傷他害の恐れのある精神障害者が入院治療を急速に要する場合、措置入院の条件を満たさなくても、知事などの指定する指定医1名の診察の結果に基づいて72時間に限って緊急措置入院をさせることができる。  措置入院費 措置入院と緊急入院措置に該当した患者の医療費は、まず医療保険制度を適用し、残りの部分については公費で負担する。  ただし、都道府県知事は精神障害者または、その扶養義務者が入院に要する費用を負担することが可能と認められた時は、その費用の全部又は一部を徴収することができる。  

    医療保護入院(第33条) 

    医療保護入院は、自傷他害の恐れはないが、医療及び保護が必要な患者の入院を、患者本人の入院の同意が得られないため、家族などのうちいずれかの者の同意に基づいて行う入院形態である。   この入院形態は患者本人の同意に基づかない入院であるため、その入院の必要性の判断は精神保健指定医の診察結果に基づくことが必須の要件となる。

    3.看護学生が遭遇する行動制限 基本

    電話及び面会が患者の病状悪化や治療効果に悪影響をおよぼすと医師が判断した場合は、患者の医療又は保護に欠くことのできない限度での行動制限を行う事がある。 この場合は、診療録に制限した理由を記載し、かつ、制限した理由などを患者及びその家族などその他の関係者に知らせる事が必要である。

    信書   信書に関しては、家族などその他の関係者からの郵便物が患者の病状や治療効果に悪影響を及ぼす場合である。そのため、あらかじめ家族等と十分に連絡を取り郵便物等を差し控えさせ、あるいは主治医宛てに発信させ患者の病状に応じて主治医が患者に連絡する等の方法に努める事が求められる。

    面会   面会は、入院患者の病状に応じ、出来るだけ早期に面会の機会を得る事が望ましく、入院直後一定期間一律に面会を禁止する措置を取る事が出来ない。 また、病院職員の立会なく入院患者が単独で面会することが原則であるが、患者若しくは面会者が希望した場合や、医療若しくは保護が必要な時は、病院の職員が立ち会う事が可能である。

    行う事ができない行動制限 信書の発受の制限 刃物、薬物等の異物が同封されていると判断される患者宛ての郵便物等の場合 患者自身が開封し、異物を取り出した後に渡す。

    診療録に当該措置を取った旨を記載 電話及び面会の制限 公衆電話等は、自由に24時間利用できる場所に設置 閉鎖病棟内にも設置 都道府県精神保健福祉主管部局、地方法務局人権擁護主管部局等の電話番号を電話機の側に提示  通信及び面会に行動制限が可能となる例外がある一方、厚生省公示第128号では、患者が手紙を出すこと及び受け取ることに対する制限や、患者と都道府県及び地方法務局等の職員や弁護士との電話及び面会の制限は、いかなる場合でも行う事ができないと定めている。  

    隔離  

    精神保健指定医が必要と認める場合でないと行う事ができない行動制限。  

    内側から患者本人の意思によっては出ることが出来ない部屋の中へ一人だけ入室させることにより当該患者を他の患者から遮断する行動の制限をいい、12時間を超えるものに限る。

    身体拘束  

    身体拘束は、患者の生命の保護及び重大な身体損傷を防ぐためやむを得ず行う行動の制限であり、医療又は保護を図る上で代替方法がない場合にのみ行う事ができる。制裁や懲罰あるいは見せしめのために行う事はできない。 対象患者 ①自殺企図又は自傷行為が著しく切迫している場合 ②多動・不穏が顕著である場合 ③そのまま放置すれば患者の生命にまで危険が及ぶ恐れがある場合 ④身体拘束に当たって遵守すべき事項 ※また、身体拘束が肺血栓塞栓症につながらないよう対応する事が必要


  • 介護保険制度のレポートについて簡単にまとめてみました

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    今回は、老年看護学実習でよく取り上げられるレポートの一つとして「介護保険制度」について解説したいと思います! この項目は、よく国試にも出題される範囲の一つとなっているので、必ず、学習を深めて行くことをおすすめします。

    吹き出し イラスト6

    それでは、介護保険制度について分かりやすく解説したいと思います。



    コミュニケーション9

    1.介護保険制度について

    申請方法・サービスの種類・対象となる人について知る 


     
    ①申請方法について

    利用者の住まいの市町村の窓口で要介護認定(要支援認定を含む。以下同じ)の申請を行う。また、市区町村からの依頼により、かかりつけ医の意見書(医師意見書)を作成する。

    その後、認定調査結果や主治医意見書に基づくコンピューターによる一次判定及び、一次判定結果や主治医意見書に基づく介護認定審査会による二次判定を経て、市区町村が要介護度を決定する。  介護保健では、要介護度に応じて受けられるサービスが決まっているため、自分の要介護度が判定された後は、自分が「どんな介護サービスを受けられるか」「どういった事業所を選ぶか」についてサービス計画書(ケアプラン)を作成し、それに基づきサービスの利用が始まる。 ※要介護において「非該当」と認定された方でも、市区町村が行なっている地域支援事業などにより、生活機能を維持するためのサービスや生活支援サービスが利用できる場合がある。

    ※要介護度の状態と目安 要支援

    要支援1 日常生活で支援が必要 生活機能の一部に若干の低下が見られ、介護予防サービスを利用すれば改善が見込まれる状態

    要支援2 日常生活で支援が必要 生活機能の一部に低下が見られ、介護予防サービスを利用すれば改善が見込まれる状態

    要介護


    要介護1 部分的な介護が必要 日常生活のうち、歩行等の部分的な介護が必要な状態

    要介護2 軽度の介護が必要 日常生活のうち、歩行・排泄・食事等の部分的な介護が必要な状態

    要介護3 中程度の介護が必要 日常生活においてほぼ全面的な介護が必要な状態

    要介護4 重度の介護が必要 日常生活は、介護がないとほぼ難しい状態

    要介護5 最重度の介護が必要 日常生活は、介護がないと営むことができない状態

    ②サービスの種類


    A.居宅サービス: 要介護・要支援者が現在の居宅に住んだまま提供を受けられる介護サービスである。
    ◯訪問サービス
    ◯通所サービス
    ◯短期入所サービス
    ◯その他サービス:介護保険の指定を受けた有料老人ホームやケアハウスなどに入所している要介護・要支援者向けのサービスと自宅で暮らす要介護・要支援者向けのサービスに分けられる。

    〈居宅サービスの種類と内容〉


    分類 介護保険適用サービス サービス内容 訪問サービス

    訪問介護 :利用者の自宅に訪問して買い物や掃除、食事や排せつの介護などを行う

    訪問入浴介護 :利用者の自宅に訪問して移動式浴槽による室内での入浴などを行う

    訪問看護: 利用者の自宅に訪問して、医師の指示に基づく医療処置、医療機器の管理、床ずれ予防・処置などを行う

    訪問リハビリテーション: 利用者の自宅に訪問してリハビリテーションの指導・支援などを行う

    通所サービス :通所介護 施設に通ってきた利用者に、食事や排せつの介護、リハビリやレクリエーションなどを提供する

    通所リハビリテーション:短期入所サービス 短期入所生活介護 施設に利用者を一定期間受け入れ、食事や排せつの介護、リハビリやレクリエーションなどを提供する

    短期入所療養介護 その他サービス 特定施設入居者生活介護

    有料老人ホームやグループハウスなどにおいて、食事や排せつの介護、リハビリやレクリエーションなどを提供する
    福祉用具貸与 利用者に、車椅子や特殊ベッドなどの福祉用具をレンタルする
    特定福祉用具販売 利用者に、腰掛便座、特殊尿器、入浴補助用具などの福祉用具を販売する
    住宅改修費支給 利用者の自宅に、手すりの取り付け、段差解消などの小規模な改修を実施する
    居宅療養管理指導 利用者の自宅に訪問して、療養上の管理・指導・助言などを行う
    居宅介護支援 利用者の依頼の下で、身体・生活状況、本人・家族の希望に沿ったケアプランを作成する


    B.施設サービス


    特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設に入所した要介護状態にある高齢者に対して提供されるサービスである。

    特別養護老人ホームでは主に食事・排泄・入浴などの介護が提供されるのに対し介護老人保健施設や介護療養型医療施設では、医学管理下における介護やリハビリ、療養上の管理や看護などのサービスも提供されている。

    〈施設サービスの種類と内容〉


    分類 介護保険適用サービス サービス内容 施設サービス 介護老人福祉施設入居者生活介護 特別養護老人ホームに利用者を長期間受け入れ、食事や排せつの介護、リハビリやレクリエーションなどを提供する 介護老人保健施設入居者生活介護 介護老人保健施設に利用者を一定期間受け入れ、医療処置と食事や排せつの介護などを提供する 介護療養型医療施設入居者生活介護 介護療養型医療施設に利用者を受け入れ、医学管理下におけるリハビリと食事や排せつの介護などを提供する

    C.地域密着型サービス


     高齢者が身近な地域で生活し続けられるように、事業所のある市町村の要介護者・要支援者に提供されるサービスである。
    地域密着型では訪問・通所・短期入所によるさ~ビス、認知症患者向けのサービス、特定施設や介護保険施設におけるサービスが提供される。 

    ◯訪問・通所型サ�
    �ビス  地域密着型の訪問・通所型サービスでは、自宅で暮らす要介護・要支援者を訪問あるいは施設に受け入れて、買い物や掃除などの生活支援、食事や排泄などの介護、健康管理や衛生管理指導などの看護を提供している。  

    なお複数の居宅サービスや地域密着型サービスを組み合わせて提供するサービスは、複合型サービスと呼ばれる。

    ◯複合型サービス  平成27年度、複合型サービスの名称が看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)に変更されている。 対象者は ①退院直後の在宅生活へのスムーズな移行 ②がん末期などのみと力、病状不安定期におけう在宅生活の継続 ③家族に対するレスパイトケア、相譲対応による負担軽減 

    サービス内容 主治医と看護小規模多機能型居宅介護事業所の密接な連携のもと、医療行為も含めた多様なサービスを提供できる。 看護小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員が「通い」「泊まり」「訪問(看護・介護)」のサービスを一元的に管理するため、利用者や家族の状態に即応できるサービスを組み合わせる事ができる。

    ◯認知症対応型サービス  地域密着型の認知症対応型サービスは、自宅から通ってきた認知症患者やグループホーム内に入所する認知症看護に、買い物や掃除などの生活支援や認知症ケアなどを提供するサービスである。

    D.施設・特定施設型サービス  地域密着型の施設・特定施設型サービスは特別養護老人ホームや有料老人ホームに入所する要介護・要支援者に、買い物や掃除などの生活支援、食事や排泄などの介護、リハビリ・看護・入浴などを提供するサービスである。

    〈地域密着型サービスの種類と内容〉 分類 介護保険適用サービス サービス内容 訪問・通所型サービス 小規模多機能型居宅介護 1つの拠点で訪問・通所・短期入所の全サービスを提供する 夜間対応型訪問介護 夜間の定期的な訪問や緊急時の随時訪問による介護を行う 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 日中・夜間を通じて1日複数回の定期訪問と緊急時の随時訪問による介護と看護を一体で提供する 認知症対応型サービス 認知症対応型通所介護 施設に通ってきた認知症患者に、食事や排せつの介護、リハビリやレクリエーションなどを提供する認知症対応型共同生活介護 グループホームにおいて、見守りや生活援助、リハビリやレクリエーションなどを提供する

    施設・特定施設型サービス 地域密着型特定施設入居者生活介護 利用人数29人以下のケアハウスなどにおいて、見守りや生活援助、リハビリやレクリエーションなどを提供する 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介 利用人数29人以下の特別養護老人ホームにおいて、食事は排泄の介助、リハビリやレクリエーションなどを提供する ③対象となる人について  介護保険制度の対象者とか、被保険者の要介護者である。

    A.要介護者とは  要介護者とは利用者のうち、次のどちらかに当たる人を指す。 40歳以上の人(第1号被保険者) 40〜64歳までの医療保険に加入している人(第2号被保険者)

    B.介護保険のサービスを利用できる対象 〈65歳以上の人〉(第1号被保険者)
    ◯寝たきりや認知症等により、介護を必要とする状態(要介護状態)になったり、家事や身支度など、日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)になった人 〈40〜64歳までの人〉(第2号被保険者)

    ◯初老期の認知症、脳血管疾患など老化が原因とされる病気(※特定疾患)により、要介護状態や要支援状態になった場合。 ※介護給付や予防給付のサービスを利用するには要介護(要支援)認定を受ける必要がある。
    ※ 特定疾患は次の16種類である。
    筋萎縮性側索硬化症 脳血管疾患 後縦靭帯骨化症 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病 骨折を伴う骨粗しょう症 閉塞性動脈硬化症 多系統萎縮症 慢性関節リウマチ 初老期における認知症 慢性閉塞性肺疾患 脊髄小脳変性症 脊柱管狭窄症 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 早老症 末期がん

    2.訪問看護を必要とする患者と看護師の役割について知る

    訪問看護の役割とは 「患者とその家族が、地域のなかでその人らしく生活できるようお手伝いすること」  訪問看護師は、生活と医療の両面をサポートし、患者が安心して自宅療養できる環境を作っていく。 訪問看護の業務内容 健康チェック 血圧、体温、脈拍、呼吸の測定 健康状態の観察、アドバイス 日常生活の看護 入浴、排泄、食事の介助や指導 療養環境の整備 生活リズムの調整 身だしなみを整えるお手伝い(髭剃り、着替えなど) 車いすやベットへの移動のお手伝い 医療処置 かかりつけ医師の指示に基づいたケア(カテーテル交換、インシュリン注射、点滴など) 医療機器(人工呼吸器など)の管理 療養生活へのアドバイス 服薬指導と管理 在宅でのリハビリ指導 日常生活動作の訓練(入浴、トイレ、外出、食事など) 拘縮予防や機能の回復 転倒、転落などの危険防止 精神ケア 不安やストレスの軽減(会話、お散歩、マッサージなど) 治療やリハビリへの意欲換気 ターミナルケア(がん末期、終末期) 痛みのコントロール 看取り体制への相談・アドバイス 本人・家族の精神的支援 認知症ケア 生活リズムの調整 コミュニケーションの援助、事故防止のケア

    3.訪問看護の役割

    ①訪問看護を行う準備を整える 患者さんの治療や看護の経過について主治医と事前に情報提供を行い、また、家族や本人に在宅医療における不安や要望を確認する。

    ②在宅医療を維持するためにケアを提供する 訪問時のみ看護を提供すればいいのではなく、患者さんにとって圧倒的に多い、看護師の不在時にも適切なケアが継続されるようにケアを提供する。 限られた時間での訪問時に適切に患者さんの変化を観察し、本人や家族が訪問看護師がいない間にも、ケアを行いやすい環境を構築していく

    ③患者を観察し危険を予測する 患者さんの病状や病気をよく観察し、起こりうる事を予測する。予測したことを家族や本人に説明し、事前に準備することで、利用者の安心にも繋がる。事故や感染を起こす可能性のある要因を取り除く事も重要となる。

    ④家族を支援する 介護者が無理なくできるケアを定時し、また訪問時にそれが十分にできているのか、いないのか、アセスメントし家族を責めず一緒に新たなケアプランを考えたりアドバイスを行い家族の精神的負担や不安を取り除く

    ⑤看護管理の視点を持つ 質の良いサービスを提供し、マーケティングやコストと行った視点を持つことも大切となる。

    ⑥チームとして連携を図る 主治医をはじめ、他職種との連携を図り、自分だけでは判断が難しい状態を的確に観察し、他の専門職や看護師に説明し、相談できるコミュニケーション力が必要となる。

    ⑦看護経過を記録する 「訪問看護計画書」「訪問看護報告書」の2種類がある。 訪問看護計画書:療養上の目標と目標を達成するための具体的な内容(いつ、だれが、どのような治療をするのか、訪問する頻度など)を利用者の希望や心身の状態、担当医師の指示をふまえて作成したもの 訪問看護報告書:訪問した日、提供した看護内容、サービス提供の結果などを記載したもの

    関連リンク 



    術前訓練 パンフレット



  • 全身麻酔を受ける患者の看護

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    手術を受ける患者さんを受け持つ学生さんが実習で一番困る事は・・・

    全身麻酔を受ける患者の看護計画をどのようにレポートとしてまとめて事前学習を活用できるように準備しておけばいいのか?

    という点だと思います。

    そのために、周手術期の患者さんの術後に関連する看護計画についての組み立て方を解説したいと思います。

    吹き出し イラスト6

    全身麻酔を受ける患者の看護について解説したいと思います!



    周手術期の実習では他の領域別実習よりさらに「早い看護展開」という事が特徴となります。

    一つ一つ参考書を開き、調べていくといくら時間があっても足りません。 また、急性期の病棟になります。 

    その分、指導者さんや、受け持ち看護師さんがとてつもなく怖い場合が多々あります。

    行動計画や看護計画、看護目標で指導者さんなどのツッコミで泣かないように、質問されたらすぐに応えられるようにしておくことがベストですが・・・・ そういうわけにはいかず・・・ ツッコミで泣かされないように、すぐに周手術期の要点が開き調べられる参考書の購入が一番の実習を乗り越える近道となります。

    一番オススメする周手術期の参考書になります。 よくツッコミがある知識が載っているので、一読してから実習に行くべきだと思います。手術1

    1.全身麻酔を受ける患者の看護

    📌ポイント

    <術前の看護>

    ①インフォームド・コンセントにおける支援


     周手術過程において、診断が確定し治療法が提案されるとき、検査時、手術計画決定時、入院時、手術終了時、また退院が近づいたとき、術後病理診断確定時など、機会があるごとにICが行われる。

    特に、術前の手術に関するICにおいて、患者は病気という人生の一大事に勅命した衝撃の中で、リスクを伴う手術への同意の契約を迫られるといっても過言ではない。 ⇒事前学習(術前検査の目的、術前オリエンテーションの目的、術前訓練の種類と目的)にてまとめる。

    ②思いを表現しやすい場の調整


    ③医師との対話の支持


    普段の看護、診療場面さらに医師からの説明・情報提供前・中・後の患者・家族の言動から患者・家族の不安や緊張感、医療者とのコミュニケーションスタイルを知る。患者・家族に最良の医療を受けるために医療者に働きかけることの重要性を伝え、医師や看護師にいつでも質問してよいことを保証する。

    疑問・質問の明確化や医師とのコミュニケーションの工夫を助け主体的に医師と話し合いをするように励ます。医師との対話場面において、必要時には看護師が患者・家族に代わって医師に質問したり、患者・家族の質問を引き出すための問いかけをする。患者・家族が対話しやすいよう医師に働きかけることもできる。

    ④理解の確認とわかりやすい情報提供


    患者・家族への情報提供内容を記録し、医療チーム内で共有しておく。患者・家族が必要十分な情報を得ているか、情報をどのように理解したのかを確認する。  手術を伴う機能的・形態的変化、生活への影響とそれらの対処法についてわかりやすく情報を提供することは、より良質な生活を支えることを守備範囲とする看護師の役割である。

    ⑤迷い、気持ちの揺れに添う


    患者・家族が気持ちを表現するように促し、気持ちのありように理解して、病気や手術に関する情報を得て湧き上がった不安や
    迷い、気持ちの揺れは自然なことであることを認め、ねぎらう。

    ⑥患者の意向の尊重


     ⑦手術オリエンテーション


    患者・家族が、術前から術後にわたる一連の経過を理解し、手術に向けて身体的・心理的・社会的な準備状態(これらを整えるため具体的に何を準備するのか?術前検査はしなくていい?するとしたらどのような検査?)を整えるための支持的・教育的ケアである。患者が手術を受ける意思を表明すると、外来看護師、病棟看護師、手術室看護師、ICU看護師、手術医、また麻酔医などが協働して手術オリエンテーションを行う。看護師にとって手術オリエンテーション(具体的に何を行うかもおさえましょう)は、患者・家族への情報提供のみならず、情報収集や信頼関係構築のための重要な機会でもある。

    📌ポイント

    手術に向けて身体的・心理的・社会的な準備状態(これらを整えるため具体的に何を準備するのか?術前検査はしなくていい?するとしたらどのような検査?)/p>

    下記にて解説したいと思います!

    2.全身麻酔を受ける患者を受け持つ際におさえて置きたいポイント

    手術を受ける患者さんは,疾患やその治療のために,身体の生理機能が何らかの影響を受けている状態にある。

    たとえば,病変部位から出血を伴い貧血を合併していたり,経口摂取障害や吸収障害を伴う場合では,低栄養状態だったり,免疫機能も低下していることがある。

    また,嘔吐や下痢,ドレナージなどによって消化液が喪失している場合などは,電解質・酸塩基バランスが崩れていることもある。さらに,心・肺・肝・腎などの臓器の機能が低下している患者さんや,生命の危機にある患者さんなど,さまざまな状態で手術に臨んでいる。 術前の検査は,呼吸や循環をはじめとする全身機能の状態を把握し,手術や麻酔侵襲による生体へのリスクがどの程度であるかを評価するために行われる。

    そして,周手術期看護では,術前に行われる検査を理解して結果を読み取り,ケアに活かす力が求められる。術中や術後に起こりうる合併症のリスクを予測し,患者さんが手術や麻酔に耐えられるように,身体的・精神的状態を整えて,よりよい状態で臨めるように備えることが大切である。

    代表的な検査の種類と,みていくポイント 主な検査として,血算・凝固系検査,生化学検査,血糖などの検査を行う。これらは血液による検体検査で,貧血や出血傾向の有無,栄養状態だけでなく,電解質バランス,肝臓や腎機能,耐糖能などの重要な情報が多く得られる。また,心機能や肺機能については,心電図などの生理機能検査や,胸部X線撮影などの画像検査を行う。疾患や患者さんの状態によっては,さらに詳しく調べるために必要な特殊検査を実施していく。  

    術前は,患者さんの全身把握のために検査を確認し,リスクファクターをチェックする。

    検体検査


    血算系の検査 血液一般検査(末梢血検査) 基本的な検査として・・・

    赤血球数(red blood cell count;RBC)

    ヘモグロビン量(hemoglobin;Hb)

    ヘマトクリット(hematocrit;Ht)

    白血球数(white blood cell count;WBC)

    血小板数(platelet count;PLT)

    などを調べる 赤血球 赤血球は,数値が増加した場合を「多血症」といい,血液の粘稠度が亢進して,血栓ができやすく血管が閉塞しやすい状態となる。

    そして減少した場合を「貧血」という。赤血球に含まれる血色素量のヘモグロビンは,全身の臓器への酸素供給量を測る重要なデータとなる。

    ヘマトクリット ヘマトクリットは,血液全体に対する赤血球の割合をいう。貧血の有無を診断するのに用いる。循環血漿量が減少していると高くなり,上昇すると低くなる。

    白血球 白血球は,免疫や感染などの炎症反応を示す。手術患者は,術前に化学療法や放射線療法を行っている場合もあり,副作用で白血球が減少する影響があるため,注意する必要がある。 血小板 血小板は止血機能の指標であり,化学療法や出血性疾患,肝障害などでも血小板数は減少するため,注意する。

    また,後述する血液凝固検査と併せてみていく重要なデータである。  

    術前は疾患のために貧血や出血傾向になっていることもあるため,場合によっては術前に輸血を行い補正する必要もある。 高齢者では,加齢に伴う生理的変動として,赤血球数やヘモグロビン,ヘマトクリットは減少傾向になる。また,妊娠中はヘモグロビンやヘマトクリットの減少から,生理的貧血になる。  このように,対象となる患者さんの病態や生理,薬剤投与や輸血,放射線などの治療背景も合わせてデータをみていくことが大切である。

    凝固系に関する検査


     血液凝固検査 手術では出血が伴うため,事前に出血傾向や止血機能を把握しておくために・・・

    プロトロンビン時間(prothrombin time;PT)

    国際標準化比(international normalized ratio prothrombin time;PT-INR)

    活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time;APTT)

    などを調べる  

    これらの時間は,抗血小板薬や非ステロイド系抗炎症薬の使用,加齢に伴う生理的変化などで延長し,妊娠では短縮傾向となるなどの影響を受ける。 凝固機能の低下は,出血量の増加や手術・止血操作の妨げとなり,術後出血のリスクも高まる。

    また,手術だけでなく麻酔方法にも影響する。出血傾向にある患者さんにおいて硬膜外麻酔や脊椎くも膜下麻酔を行うと,硬膜外血腫の合併症のリスクがあるため,禁忌となっている。

    硬膜外血腫を生じると,脊髄や神経根が圧迫されて神経障害を引き起こすためである。その他,抗凝固薬投与のモニタリング,肝機能障害や播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation syndrome;DIC)の診断として,Dダイマーなどが用いられる。  

    術前に出血傾向や凝固機能が低下している場合は,補正するために輸血の準備が必要である。
    また,大量出血が予測される場合では,あらかじめタイプ&スクリーンなど輸血の準備を考慮する。 抗血栓療法の患者�
    ��んには  脳や心臓の梗塞,不整脈の治療のために,ビタミンK拮抗薬であるワルファリンなどの経口抗凝固療法をしている患者さんも多くみられる。抗凝固薬の使用は手術に支障をきたすため,薬の半減期を考慮して術前に中止する必要がある。そのため,休薬によるリスクを回避するために,術前には作用時間の短いヘパリンの使用へ切り替えてコントロールする場合もある。

    しかし,緊急手術などでワルファリンが休薬できなかった場合などは,ビタミンKの静注や,新鮮凍結血漿(FFP)を投与して凝固能を回復させる。これらのような場合には,PTやAPTT,ACTを測定し,凝固機能のモニタリングをしていくことが大切である。

    血液生化学検査


    肝機能や腎機能,代謝・内分泌機能などを評価するために行う。 生化学検査 肝機能に関する検査 肝臓は,代謝機能(蛋白質・糖質・脂質)や解毒・排泄機能,合成機能など,さまざまな機能を持っている。しかし,麻酔薬や手術侵襲に伴い肝血流量が低下し,肝機能が影響を受けるため,術前の肝予備能の評価は重要である。 肝合成能の主な指標として,血清アルブミン(Alb)やコリンエステラーゼ(ChE)がある。いずれも,肝の合成能が低下すると低下する。また,凝固検査の1つであるプロトロンビン時間(PT)も肝機能が低下した場合,凝固因子の合成ができなくなるために低下する。排泄機能の指標は血清ビリルビン(T-Bil)です。薬剤の代謝は肝臓で行われるものが多く,肝機能が低下した場合は薬剤の排泄が遅くなり,通常より作用が遷延する可能性がある。その他,肝障害の指標として,ASTとALTを評価する。

    これらは,それぞれGOT,GPTとも呼ばれているトランスアミナーゼと総称される酵素で,細胞の障害が生じた際に血液中に流出して高値を示す。ただし,ASTは肝細胞のみならず,心筋,骨格筋,赤血球などにも広く存在するため,肝炎や肝硬変などの肝障害のときだけでなく,心筋障害や骨格筋の障害でも上昇するため注意が必要である。ALTは主に肝細胞に局在するために,肝障害で上昇がみられる。

    腎機能に関する検査


     腎臓は,薬物代謝や酸塩基平衡,電解質の維持,水分の排泄などの機能を持っている。 腎機能が低下すると,薬物の代謝が遅れたり,低ナトリウム血症や高カリウム血症などの電解質異常をきたしたり,代謝性アシドーシスをきたしたりするリスクが高くなる。また,蓄積した有毒物質を排泄できなくなることで,尿毒症から意識障害をきたしたり,水分を排出できなくなることで体内に余分な水が過剰に貯留し,肺水腫から呼吸不全をきたしたりするリスクも高まる。 術中は,麻酔や手術に伴う神経・内分泌反応や出血,また循環血液量の減少や腎血管収縮による腎血流量の低下などから,虚血性の腎障害を引き起こす可能性がある。とくに慢性的に腎機能が低下している患者さんや,血管障害(動脈硬化・糖尿病・高血圧など)のある患者さん,大量出血や侵襲の大きな手術を受ける場合では,周術期に腎機能障害をきたすリスクが高くなる。また,腎機能を悪化させる薬剤にも注意が必要である。たとえば,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やX線造影剤,抗がん薬や免疫抑制剤などは腎機能を悪化させる。

    また,腎機能が悪化した場合,腎臓で排泄される薬物,たとえばモルヒネなどのオピオイドや筋弛緩薬などは薬物代謝が遅延し,効果が遷延する可能性があるために,投与量には注意が必要である。  術前の腎機能の指標として,血中尿素酵素(blood urea nitrogen;BUN)や血清クレアチニン(serum creatinine;Cr)などがある。これらは血中の代謝産物で腎機能が低下して排泄が障害されると上昇する。

    また,腎予備能の評価として重要なクレアチニンクリアランス(Ccr)がある。基準値は110〜150(ml/分)で糸球体濾過率(GFR)を反映し,腎血流低下や腎障害によって腎機能が低下していると低値となる。

    電解質系


     ナトリウム(Na)は,主に細胞外液に存在し,血清ナトリウム値は体内の水分バランスの影響を受けて変化する。

    高ナトリウム血症や低ナトリウム血症では,背景に体内の水分バランス異常がある可能性があります。

    原因として,脱水の存在や利尿薬の使用などがないかチェックが必要である。それに対してカリウム(K)は,主に細胞内液に存在する。 細胞が崩壊したり,腎機能が悪化してカリウムを排泄できなくなることにより血中の濃度が上昇し,高カリウム血症となる。高カリウム血症では,心停止や不整脈の危険があるため,ただちに治療が必要である。

    これに対し,カリウム摂取不足,インスリンの使用によるカリウムの細胞内移動,利尿薬の使用による体外排泄などにより,血清カリウム値は低下する。低カリウム血症も,心室細動や心室性頻拍などの致死的な不整脈を引き起こすため,注意が必要である。 カルシウム(Ca)の異常は,神経や筋,心筋収縮力に影響を及ぼしやすくなる。高カルシウム血症では,意識レベルの低下や脱力などが認められる。また低カルシウム血症では,テタニーや筋力低下,けいれん発作が起こりやすくなる。とくに大量輸血を行った場合,カルシウム値は低下する。また,マグネシウム(Mg)にも注目する。高マグネシウム血症をきたした場合,筋弛緩作用が遷延する可能性がある。低マグネシウム血症は筋力低下やテタニー,心室頻拍(torsades de pointes:TDP)に代表されるような致死的不整脈をきたす可能性があるため,注意が必要である。 周手術期は,病態や疾患,治療の影響などから患者さんの電解質バランスは変動しやすいために,必要な補正を行って整えていくことが大切である。

    酵素系


    乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase;LDH)は,すべての細胞に存在する酵素で,細胞の障害や悪性腫瘍などによって数値が上昇する。クレアチンキナーゼ(creatine kinase;CK)は,骨格筋や心筋,平滑筋などに存在し,心筋梗塞や横紋筋融解症,コンパートメント症候群などで筋肉が障害を受けた場合,クレアチンキナーゼ値は上昇する。

    免疫系


    C反応性蛋白�
    ��C-reactive protein;CRP)は炎症の指標で,組織壊死や悪性腫瘍などによる組織の障害や,関節リウマチなどの膠原病でも高値を示す。

    耐糖能に関する検査


    手術や麻酔侵襲に対する神経・内分泌系の生体反応として,ストレスホルモン(カテコールアミン,コルチゾール,グルカゴン)の分泌が増加する。

    これらのホルモンは,インスリン拮抗ホルモンで,肝臓でのグリコーゲン分解,糖新生促進,末梢でのインスリン抵抗性が起こり,手術中はインスリンの作用不足から「外科的糖尿病」と呼ばれる高血糖状態になる。

    高度のインスリン作用不足は,急性合併症であるケトアシドーシスや浸透圧利尿が亢進して循環血漿量の低下が生じ,脱水をきたしやすくなる。 検査として,血糖値(glucose;GLU/blood suger;BS)は,血中に含まれるブドウ糖(血糖)の量を表し,代謝状態を示す指標となる。 空腹時血糖値は,80〜110 mg/dl未満,2時間後血糖値は80〜140 mg/dlを基準としている。

    また,糖化ヘモグロビン(HbA1c)は,赤血球のヘモグロビンにブドウ糖(グルコース)が結合したもので,過去1〜2か月前の平均的な血糖状態を反映する。 糖尿病で治療を受けているような場合や,糖尿病が疑わしい場合には,血糖値だけでなく必ずHbA1c(基準値はNGSP:4.6〜6.2 %,JDS:4.3〜5.8 %)も測定する。

    高値の場合は,糖尿病や腎不全を示し,低値では膵臓腫瘍のインスリノーマ(膵島線腫)や溶血性貧血が考えられる。とくに糖尿病の患者さんについては,術前の血糖コントロールの状態と治療法を知り,合併症の有無と症状を確認しておくことが大切である。

    動脈血ガス分析


    動脈血ガス分析により,酸素が血中に十分に取り込まれているか(酸素化能),二酸化炭素が排出できているか(換気能),酸塩基平衡はどうであるかを知ることができる。 動脈血酸素分圧(PaO2)は肺の酸素化能を示す。  

    酸素吸入などで上昇し,肺炎,COPD,間質性肺炎などの肺疾患を持った患者では低下する。それに対して動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)は,肺胞での換気能を判断する指標となる。低換気ではPaCO2は上昇し,過換気では低下する。

    酸塩基平衡に注目するうえで最も重要なのが水素イオン指数(pH)。  pHは血液の酸性度を示しており,pH 7.35以下は「酸血症(アシデミア)」,pH 7.45以上は「アルカリ血症(アルカレミア)」として定義されている。そして,アシドーシス,アルカローシスはその異常を起こす病態をいう。どちらに傾いている状態かを鑑別し,いずれも電解質異常やエネルギー産生に異常をきたすため,必要な治療を行う。  

    たとえば,二酸化炭素が貯留するとPaCO2は上昇し,アシデミアとなる。また,過換気の場合には二酸化炭素が排出されPaCO2は低下し,アルカレミアとなる。呼吸が原因でアシデミアをきたすことを「呼吸性アシドーシス」と呼び,その逆を「呼吸性アルカローシス」と呼ぶ。  

    一方,体内に有毒な有機酸が蓄積すると重炭酸イオン濃度(HCO3−)が相対的に低下し,アシデミアに傾く。これに対し,嘔吐,低カリウム血症,脱水などではHCO3値は上昇し,アルカレミアとなる。代謝性物質が原因でアシデミアをきたすことを「代謝性アシドーシス」と呼ぶ。 動脈血液ガス分析では,塩基過剰(base exses;BE)も,HCO3-とともに代謝性因子による酸塩基平衡異常の程度を表すため,アシドーシス,アルカローシスの原因の鑑別に有用である。

    生理機能検査


     

    📌ポイント

    呼吸機能の検査

    全身麻酔では人工呼吸器を使用するために,肺へ大きな影響を及ぼす。そして,手術操作を容易にするために行われる片肺での換気や,体位変換,手術台を回転させることは,換気の制限や呼吸の抑制などが起こりやすい状態になる。それに伴い,換気血流不均衡や肺の膨張が妨げられ,術後肺合併症のリスクがより高くなる。

    また呼吸機能は,全身への酸素供給をするために重要である。そのために,換気と肺のガス交換の予備能を事前に把握し,呼吸機能を正確に評価することが術中の安全のために必要である。 術前には,スパイロメトリーなどの測定を行う。また,心機能,ヘモグロビン,末梢循環不全なども影響するため,胸部X線写真や,必要に応じて動脈血ガス分析なども併せて総合的に判断する。



    スパイロメトリー


    肺を通過する空気の量と速度を測定し,肺換気障害を評価します。%肺活量と1秒率から,拘束性,閉塞性,混合性換気障害に分類される %肺活量(%vital capacity;%VC)は,年齢や身長から予測される肺活量(VC)に対する実測肺活量の割合で,換気予備力の指標となる。 80%以下を「拘束性障害」といい,胸郭や胸腔内,肺自体の何らかの異常で肺の膨張が障害されている状態である。原因となる主な疾患として,無気肺や間質性肺炎,気胸などがある。また,肥満の患者さんの肺も分厚い胸壁によって拡張しにくい状態である。肺の膨張が最大限に行われるように術前からの呼吸訓練を行うことや,深呼吸を促すことが大切である。

    一方,1秒率(FEV1.0%)は,実測された努力性肺活量(forced vital capacity;FVC)と,1秒間に呼出した量(1秒量:FEV1.0)の割合で,術後肺合併症の発生にも関連する喀痰の喀出力の指標となる。 70%以下を「閉塞性障害」といい,気管支や肺胞道といった気道自体に狭窄や分泌物による抵抗が生じて,息を出しにくい状態となってる。原因となる主な疾患として,喘息や気管支炎,肺気腫などがある。また,1秒量から術後合併症の発生リスクをみると,700〜1000 mlでは術後呼吸器不全は起こりやすくなっており,700 ml以下では生命への危険も大きいとされているため,注意が必要である。

    循環機能の検査


     

    📌ポイント

    標準12誘導心電図

    術前の心電図の測定は,不整脈や心筋虚血などの評価になり,術中や術後に異常が起こった場合に比較するための指標となる。 周手術期は麻酔や手術侵襲に伴い,ストレスホルモンの分泌増加,血圧や酸素分圧,電解質バランスの変動などが容易に起こる。

    それらは,さらに心筋自動能や刺激伝導系に作用し,不整脈や心筋への酸素供給不足などさまざまな影響を引き起こすリスクを高める。また,動脈硬化や高血圧,糖尿病などの危険因子を有している場合も多く,注意が必要である。 不整脈は,虚血性心疾患や弁膜症などの心疾患とともにみられることが多いといわれている。 心房細動では弁膜症を合併していることが多く,血栓が認められた場合は抗凝固療法などが行われる。

    また,心室性不整脈は心室細動に移行する頻度が高いといわれており,抗不整脈薬の投与や除細動の準備を考慮し,房室ブロックでは事前に対処するためにペースメーカーの植え込みや経皮ペーシングが必要になる場合もある。循環動態への影響は生命に直結するために,術前に評価を行ったうえで,治療と準備をすることが重要である。

    画像検査


    術前の画像による診断検査では,胸部の異常や気道確保に必要な情報を得るために,胸部単純X線撮影を広く行っている。また,特殊検査として,CT撮影(コンピューター断層撮影:computed tomography)や,MRI検査(核磁気共鳴画像:magnetic resonance imaging),血管造影,エコーなどが必要に応じて行われる。

    部単純X線撮影 胸部X線写真では,異常な陰影の有無や増強から,無気肺や肺炎,気胸などの疾患の判定や胸水貯留などの異常を知ることができる。また,心陰影の大きさや胸郭に対する心臓の占める割合の心胸郭比(cardiothoracic ratio;CTR)によって心不全を把握したりする。その他,気管の太さや長さ,変形の有無などの気道確保に必要な情報を得ることができる。

    3.全身麻酔を受ける患者の看護のポイント

    手術や麻酔はさまざまな侵襲を生体に及ぼすために,患者さんの状態を術前に評価することはとても重要である。 術前評価では,それらから得られる既往歴や身体所見などの情報も,検査データと併せてみていくことが大切である。そして検査結果から,今,患者さんに何が起こっているのか,それは手術や麻酔を受けることでどのような影響を受けるのか,そのために何が必要なのか,術中ケアの実際に繋げて考える。

    看護師が検査データをアセスメントすることは,検査結果をもとに行われる治療や処置に迅速に対応することができ,患者さんに対する術中や術後の看護の質を左右するといえる。

    4.全身麻酔を受ける患者のオリエンテーション

    術前のオリエンテーションの実施目的


    全身麻酔での手術を予定している患者さんを対象におもに療養経過や手術に関する情報を提供するオリエンテーションですが、その目的の一つは術後の合併症予防にある。  術後は疼痛によって腹式呼吸が抑制されるため、深呼吸が困難になり、末梢気道が閉塞、肺胞が虚脱して無気肺や肺炎を引き起こす可能性がある。

    その予防のために、術前に呼吸訓練や痰の出し方などを説明し、理解してもらうようにする。 特に肺など呼吸器の手術、食道手術の患者さんはそのリスクが高いので、入院する前から予防的リハビリを行うことは重要である。また、手術を受ける患者さんは、多かれ少なかれ誰もが不安をもっている。きちんとした情報提供を行うことで、その不安を軽減することも、オリエンテーションの大切な目的である。  

    一般的に、入院後に行われる術前オリエンテーションは手術室の看護師が行うことが多い。

    5.看護援助の実際

    1 禁煙


    喫煙による肺・気管支機能の低下により、術後に痰の量が増加することがある。肺機能を維持し、痰の量を少なくするためにも、喫煙習慣のある人には必ず禁煙してもらう。また、体力低下を防ぐために日常生活を制限されていない限り、散歩や体操などの軽い運動を心がける。これは手術にむけて体調を整えるだけでなく、術後の回復を早めることにもつながる。

    2 深呼吸


     全身麻酔によって硬くなっている肺や胸郭を動かすために、深い呼吸を行う。術後にいきなりはできないので、あらかじめ練習しておく必要がある。

    3 痰の出し方


     術後は痰が多くなるが疼痛があったり、身体に力が入らなかったりするため、排痰が困難になる。練習によって痰を出せるようにする。

    4 呼吸訓練器具の使い方


    呼吸筋を鍛えるために、呼吸訓練器具を使うので、患者さんにその購入方法や使い方をマスターしてもらいます。

    5 うがいの方法


    術後の安静期間は、床上で過ごすことになる。口腔ケアや排痰のためのうがいも床上で行うことになるので、その方法を知ってもらう。 うがいの方法は次の通りです。 ベッドが濡れないようにタオルなどを敷き、仰臥位で顔を横に向ける。 吸い飲みで水を少し口に含んで含嗽する。顔を上に向けるとむせてしまうことがあるので、横向きのままですすぐようにする。十分にすすいだら、水を吐き出すための容器を頬にあてる。容器を頬に密着させたまま、静かに水を吐き出す。顔を横向きにしたままで口を開けると、自然に流れ出す。

    📌ポイント

    実施に際しての2つのポイント

    ポイント1


    理解度を確認しながら、わかりやすく説明を 患者さんが理解しやすいように、わかりやすい説明を心がけると同時に、理解度を確認しながら進めることが大切である。

    また、患者さんのなかには、告知されて間もないことから精神状態が不安定になっている人もいる。

    説明を理解できているのか、手術に臨める状態にあるのかを観察しながら説明する。  患者さんが高齢の場合、理解度の確認は特に重要となるが、患者さんが家族と一緒であれば、患者さんとともに家族にも質問の有無を問い、理解状況を確かめる。また、説明の途中でも「大丈夫ですか?」などと声をかけ、表情や動作から不安な様子が感じとれる場合には注意を払う。

    ポイント2


    患者さんの精神状態、生活環境などの情報はスタッフと共有する  妙に落ち着きがなかったり、ほかの患者さんへの配慮を欠き、過剰に質問をしたりする場合、さらに呼吸訓練器具に触ろうともしなかったりする場合、それは不安の徴候とも考えられる。こうした徴候がみられたら、疾患や手術を受け入れられないでいる可能性もあるので、「眠れていますか?」「手術が決まってから不安を感じているのですか?」などと声をかけてみる。  

    独居でサポートの得られない患者さんや不安をキャッチした患者さんについての情報は、医師や病棟スタッフに提供していく。

    ポイント3


    飲食・飲水制限 麻酔中の胃内容物の逆流による誤嚥を防ぎ、重篤な呼吸器合併症(この合併症予防のために他にすべき訓練はありますか?)を予防するために、術前の飲食・飲水制限を行われる。術前の絶飲食時間は、胃内容物、胃からの排泄速度、下部食道括約筋機能制限を考慮して決定される。看護師は患者・家族の理解を確認し、患者が飲食・飲水制限を厳守できるようにする。 重篤な呼吸器合併症(この合併症予防のために他にすべき訓練はありますか?)

    術後呼吸器合併症とは 無気肺


    末梢気管支が気道内分泌物で閉塞し、閉塞部位より肺胞側(ガス交換の場)の空気が吸収されると、やがて肺胞がつぶれて無気肺となる。 無気肺は肺の一部から全体に起こり、放置すると分泌物内で細菌が繁殖して肺炎を引き起こす。

    気道内分泌貯留の要因:低換気、長期間の臥床、喀痰排出困難、喫煙など

    術後肺炎


    無気肺→肺炎となることが多く、熱発、呼吸困難、化膿性痰の喀出などの肺炎所見がみられるようになる。 免疫力が低下した患者や侵襲の大きい手術などではリスクが高くなり、術後は、5~10%の患者に無気肺・肺炎などの呼吸器合併症が起こる。

    術後に呼吸器合併症が起こりやすい理由 術中の麻酔薬使用 麻酔薬は呼吸機能抑制・心機能低下などの副作用が生じる。その副作用が術後24時間以内は残存し、呼吸抑制が起こる可能性がある。

    また、不十分な覚醒状態では肺活量も低下する。 気管内挿管による刺激 全身麻酔では、気管内にチューブを挿入し人工換気によって呼吸管理を行う。術後は抜管するが、挿入時の気道・喉頭への刺激によって気道内分泌物が増加しやすい。 疼痛の影響 術後は痛みにより肺活量の低下や 呼吸が浅くなることが多い。とくに、下部の肺が十分に広がらないため、無気肺が起こりやすい。

    また、痛みにより咳嗽もしにくく、喀痰排出が困難になることが多い。

    臥床状態


    横隔膜の動きを抑制し、気道内の分泌物貯留、末梢気道の閉塞などにより無気肺を引き起こす。

    また、座位や立位に比べて咳嗽もしにくく、背部に気道分泌物が貯留しやすい。 リスク因子と発生頻度 慢性肺疾患の既往(気管支喘息、肺気腫、慢性気管支炎など)⇒健康者と比べ3倍 喫煙歴⇒非喫煙者と比べ倍 年齢⇒65歳以上で高い 肥満⇒術後、残気量が減少し、横隔膜拳上により無気肺になりやすい 上気道感染の存在 低栄養状態(低アルブミン血症) 糖尿病の合併⇒感染防御機能が低下しているため、頻度が高いステロイド使用者 手術部位 

    ・開腹⇒非開腹手術と比べ4倍 

    ・上腹部⇒下腹部と比べ2倍 手術時間⇒3時間以上で頻度が高い

    呼吸訓練の目的


    術前・術後に行う呼吸訓練は、合併症を予防し、後遺症を最小限に抑えて、スムーズな術後の回復を図ることを目的に行われる。 無気肺・肺炎を予防するためには、気道分泌物の減少、喀痰の排出を容易にする、肺活量を増加させることが大きなポイントとなる。そのため、呼吸機能の術前評価やリスク要因の有無などのアセスメントを行い、呼吸訓練を事前に行うことで合併症を予防する。

    術前評価


    ①ヒュー・ジョーンズ分類 患者の息切れ度を健康者と比べて分類したもの。大まかな呼吸機能を評価するのに便利。

    Ⅰ度 正常 <階段も問題なく昇れる> 同年齢の健康人と同様に仕事ができる。歩行、坂、階段の昇降も同様にできる。また、安全に手術ができる Ⅱ度 軽度 <階段は健康人並みには登れない> 平地では同年齢の健康人と同様に歩ける。

    しかし、坂や階段は健康人並みには昇れない。ほぼ安全に手術ができる。しかし、肺切除術では術後合併症のリスクが高い。

    Ⅲ度 中等度 <マイペースなら1km以上歩ける> 平地でさえ健康人並みには歩けない。しかし、自分のペースでなら1km以上歩ける。重篤な呼吸機能障害がある。Ⅲ度以上では、開胸術の適応にはならない。

    Ⅳ度 高度 <休まないと50km以上歩けない> 同上 Ⅴ度 きわめて高度 <息切れのため外出できない> 会話や着脱の際にも息切れがする。 

    ②呼吸機能検査 スパイロメーター:

    換気能力の評価 人間は、安静時には1回500ml、1分間に15回換気をしている 機能的残気量:安静時の呼吸で、息を吐き終わった時に肺内に残っている空気の量 肺活量:空気を吸えるだけ吸い込んだ状態(全肺気量)から、できるだけ吐き出した状態(残気量)までの空気の量 ⇒肺活量と1秒率を測定し、拘束性障害・閉塞性障害・混合性障害を判断する。 ※肺活量→80%以下で拘束性障害(肺が縮んでいる) 肺活量は性別、年齢、身長などにより予測できる。その予測値に対する比率のこと。 ※1秒率→70%以下で閉塞性障害(気道が狭くなっている)最大吸気状態から努力呼出した時の肺活量を「努力性肺活量」という。その最初の1秒間の量のこと。 ★術後呼吸器合併症の発生は、1秒率と相関する。

    1秒率50%~70%で要注意、50%以下で高率、30%以下で必発

    動脈血ガス分析


    人間は、大気中から肺を介して1分間に250mlの酸素を血液中に取り入れ、組織で消費される 組織で産生された200mlの二酸化炭素は血液によって肺に運ばれ、大気中に排出される。 ⇒ガス交換は3億個の肺胞で行われ、その結果は動脈血中のO2、CO2量に反映

    ※Pao2  
    正常値80~100mmHg、年齢と共に低下 ※Paco2 正常値40±5mmHg、肺胞換気量に規定される。

    年齢による低下はない。

    呼吸訓練


    術後に深呼吸を行うことで,肺の再膨張を促進し肺胞の虚脱を防止することや,呼吸機能を最大限に保つことができ,肺合併症の予防や酸素化の促進ができ。 術前に深呼吸の方法を理解し訓練することで,術後患者さん自身が効果的な深呼吸を実践することの助けになる。

    腹式呼吸


    A:鼻から息を吸い,腹部が膨らみます。

    B:口から息を吐き,腹部がへこみます。このとき上腹部を少し押さえて,しっかり吐き切ります。

    呼吸は胸式呼吸よりも腹式呼吸のほうが,より多く肺への酸素の取り込みが行えますが,ベッド上での臥床は横隔膜の動きを抑制します。術前から横隔膜を積極的に動かす腹式呼吸の訓練を行うことが大切です。

    ①膝下に枕を置いて膝を曲げ,セミファウラー位をとります。

    ②患者さんの両手を上腹部に置きます。

    ③ゆっくりと鼻から息を吸い,口から吐きます。このとき,吸気時に腹部が膨らみ,呼気時に腹部がへこむことを確認します。

    ④さらに,呼気時に上腹部に圧迫を加えてしっかり吐き出します。

    ⑤しっかり吐き出すことで,吸気が楽にできることを説明します。 腹部の手術であれば,術後は創部を手で保護し振動を少なくすることで,苦痛を緩和しやすくなることを説明しましょう。

    シルベスター法


     A:鼻から息を吸いながら,腕を上げます。

    B:口から息を吐きながら腕を下げます。 吸気時に上肢を挙上し,呼気時に上肢を下降する胸部の筋肉ストレッチング運動です。

    換気量を増大するとともに,肋間筋を鍛えて呼吸機能を高めます。気管挿管中でも行えるという利点があります。

    器具を用いた呼吸訓練 呼吸機能が低下している患者さん(スパイロメトリーの%肺活量が80%以下あるいは1秒率が70%以下の場合)や高齢者には,器具を用いて呼吸機能をトレーニングすることも有効である

    呼吸訓練器具


     添付の使用手順に沿って適切に使用しましょう。

    呼吸抵抗タイプ ・トリフロー®:ゆっくり,一定の速さで持続的に吸入することで,吸気を最大限まで行い,肺砲内に十分な空気を取り入れて拡張させます。 他にコーチ2®,ボルダイン5000®,クリニフロー®,ピーフレックス®などがあります。 再呼吸タイプ ・スーフル®:呼気時に抵抗を与えることで呼出時間を延長し,残気量を減らします。さらに,自分の呼気の一部を再吸入することによって血中の炭酸ガス濃度を高め,呼吸中枢を刺激して反射的に深呼吸を促します。 気道の浄化 術後はチューブや麻酔薬,疼痛や不安などにより,気道の分泌物の増加,呼吸筋機能の低下,咳嗽反射の低下が起こり,気道の「排出・浄化作用」が障害されます。術後に効果的な排痰を行えるよう,術前から効果的な排痰法を練習しておくことが必要となります。

    排痰訓練


    ①膝を軽く屈曲させ,セミファウラー位または側臥位をとります。

    ②予定されている手術創部位を患者さん自身の両手で保持し,創部への振動をできるだけ少なくします。

    ③大きくゆっくりと息を吸い込んだ後,息を1~2秒止めてから1回あるいは2回続けて咳を行います。

    ④咳が終わったら,一度呼吸を止めてからゆっくり吸気へ移っていきます。

    禁煙
    前述したように,喫煙により気管分泌物の貯留による肺合併症が起こりやすくなります。術前30日間の禁煙が手術部位感染(surgical site infection;SSI)予防の観点からも推奨されています。

    ※術前絶飲食時間のガイドライン(日本麻酔科学会2012)

    麻酔に対する準備(麻酔全投薬)


    目的:患者の不安の緩和、鎮静・鎮痛、口腔内・気道内分泌抑制、誤嚥予防などが挙げられる。

    患者の意識レベル低下による患者取り違え防止、また、必要最小限の薬剤で麻酔を行い患者への麻酔薬による侵襲を最小限にするという意図から、手術室入室前の麻酔前投与は原則として廃止されている。

    しかし、緊張度が高く鎮静が必要な患者には、麻酔医が最小限の前投薬を指示する場合がある。
    前投薬がなされる場合には、特に作用時間の長い鎮痛薬、睡眠薬は使用しないことが推奨された。痛みを伴わないことが望ましく、注射より経口・経皮経路が適切である。

    さらに麻酔医から、鎮静目的の為の手術前夜の与薬がされた場合は、睡眠の確保と同時に患者の転倒防止には十分に留意し、防止する。

    麻酔前投薬の目的と投与薬剤


     摂取物 麻酔導入までの絶飲食時間 清澄水(せいちょうすい) 水、茶、アップルまたはオレンジジュース(果肉を含まない果実ジュース)、コーヒー(ミルクを含まない) 2時間 母乳 4時間 人工乳・牛乳 6時間 固形物 (軽食:トーストと清澄水) (揚げ物、脂質を多く含む食物、肉) 適切な絶飲食時間を考慮 6時間以上 8時間以上

    ①患者の不安の軽減と鎮静:鎮静薬、鎮痛薬

    ②唾液、気道内分泌物の抑制:副交感神経遮断

    ③胃酸分泌の抑制:H2遮断薬 ④疼痛闘値の上昇:鎮痛薬

    麻酔前投薬をする患者の観察とケア


    麻酔前投薬に使用される薬物、特に麻薬・鎮静薬などの中枢神経抑制薬は舌根沈下による上気道閉塞、低換気、低酸素血症などの呼吸抑制や循環抑制などを起こすことがあるので、手術室入室時から麻酔導入までは、患者の意識状態やバイタルサインの変化を十分観察する必要がある。  

    最近は、歩行による手術室入室も多く行われており、患者誤認防止のための患者確認をする目的もあり、鎮静薬などの麻酔前投薬をせずに手術室に入室する患者も増えてきている。

    麻酔の基礎知識と麻酔中の援助


    手術は痛みや恐怖などのストレスを伴う。麻酔は、痛みや恐怖などのストレスを鎮静作用と鎮痛作用により取り除くことで、有害反射を起こさず患者が安全に手術を受けることを目的としている。  

    しかし、麻酔は偶発症や合併症などのリスクを伴うため、看護師は万全の準備をすること、モニタリングにより患者の状態の変化を見逃さないこと、変化に対処するために、モニタリングと医師と協力し、迅速な対応をすることが�
    �要である。

    局所麻酔(全身麻酔ではないが)


    局所麻酔は、末梢神経の局所麻酔薬を作用させて、意識を消失させることなく、末梢神経を麻痺させ、無痛状態を作り出すものである。  
    末梢神経の遮断部位によって、脊髄くも膜下麻酔、硬膜外麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔、表面麻酔、神経ブロック、神経叢ブロックに分類される。

    (1)脊髄くも膜下麻酔と硬膜外麻酔  脊髄くも膜下麻酔は、脊椎部のクモ膜下腔に局所麻酔薬を注入し、脊髄神経前根と後根を遮断する。
    また、硬膜外麻酔は、脊柱管内の硬膜外腔に局所麻酔薬を注入し、鎮痛遮断を行う方法である。 <

    脊髄くも膜下麻酔


    麻酔名 脊髄くも膜下麻酔 作用 クモ膜下腔に局所麻酔を注入し、脊髄神経の前根と後根を遮断する。 適応 2時間以内に終わる短時間の下腹部以下の手術 禁忌 同意や協力が得られない患者 出血経口や抗凝固薬、抗血小板薬投与中の患者 頭蓋内圧が亢進している患者 ショックや循環血液量が極度に低下している患者 穿刺部の感染がある患者 使用される薬剤 脳脊髄液(比重:1.003〜1.009)より高比重液、等比重液、低比重液の局所麻酔薬 局所麻酔薬(ブピバカイン、テトラカイン、ジブカインなど) 合併症 血圧低下:交感神経遮断により末梢血管が拡張し血圧が低下する 呼吸抑制:麻酔高が高位になることが起こる。

    全脊髄くも膜下麻酔の場合には、麻酔薬の作用が脊髄高位に及び、血圧低下、呼吸停止、意識消失、徐脈となる。

    人工呼吸を行う。 麻酔後頭痛:クモ膜の穿刺孔から髄液が濾出し、脳脊髄圧が低下することで起こる。 髄膜刺激症状・髄膜炎 麻酔名

    硬膜外麻酔


    作用
    硬膜外腔に局所麻酔薬を注入し、脊髄神経を遮断し鎮痛を得る。 文節麻酔の場合には局所麻酔の量により、遮断する脊髄の範囲を変化させることができる。
    分離麻酔の場合には、局所麻酔薬の濃度により、交感神経、知覚神経、運動神経を分離して麻痺させることができる。 適応 頭部、顔面以外の手術 硬膜外腔にカテーテルを留置し、長時間の鎮痛が行える。

    全身麻酔に併用することで、術中・術後の鎮痛にも用いられる。 禁忌 頭蓋内圧が亢進している患者 穿刺部の感染がある患者 出血傾向や抗凝固薬、抗血小板薬投与中の患者 同意や協力が得られない患者 使用される薬剤 局所麻酔薬(リドカイン、メビバカイン、ロピパカイン、ブピバカインなど) オピオイド(モルヒネ、フェンタニルなど)

    合併症 血圧低下:
    交感神経遮断により末梢血管が拡張し血圧が低下する。
    悪心・嘔吐:交感神経遮断により副交感神経活動が活発化する。
    硬膜外血腫、硬膜外腫瘍 カテーテルの血管内迷入による局所麻酔薬の血管内誤注入では、耳鳴り、痙攣、昏睡、心停止となる。 カテーテルのクモ膜下迷入による局所麻酔薬のクモ膜下誤注入では、下肢の運動不能、高位脊椎麻酔、前脊麻、呼吸停止、徐脈、意識消失となる。

    (2)硬膜外麻酔実施時の看護  

    硬膜外麻酔は、狭い手術台で側臥位となる患者から見えない背部での処置であるため、患者が不安や恐怖を感じやすい。しかし、正しい体位をとることが硬膜外麻酔を短時間で円滑に行うことにつながるので、看護師は正しい体位を熟知し、患者の身体をしっかりと支え転落の防止することにも1つひとつ操作の説明を行いながら介助する。 ※硬膜外麻酔実施の手順と看護 硬膜外麻酔実施の手順 看護師の援助 ①〜⑩は麻酔医が滅菌手袋を装着して行う ・ 麻酔医が必要物品を準備するのを介助する。

    ①穿刺時の体位確保 ・側臥位を取る。左右はどちらでもよい。
    ・ 患者に体位をとる木亭を説明し、協力を得る。

    ・ 患者を側臥位にし、体軸と両肩を通る線が垂直にあり、脊柱が手術台と平行になるように頭に枕を置く。

    ・ 背中を手術台に垂直になるようにする。

    ・ 頸部を曲げ、膝を抱えて強く前屈させる。

    ・ 患者に脊柱を屈曲させ、臍部を見るよう伝える。

    ・ 脊椎を屈曲し、棘突起の間隔をできるだけ広げることで穿刺しやすくなることを患者に伝える。

    ・ 頭部と肩、殿部・下肢を上肢でしっかり支える。 ②皮膚消毒、ドレーピング ・ 穿刺部位を中心に広範囲に消毒する

    ・ 穿刺部位の周りにフィルムドレープ(穴あき)をかぶせる。

    ・ 腰背部を濾出させる。

    ・ 殿部や下肢はバスタオルなどのリネンで覆い、不必要な露出を避ける。

    ③穿刺部位の皮内

    ・皮下の浸潤麻酔

    ・ 浸潤麻酔の針を刺すので、動かないよう説明する。

    ④硬膜外腔麻酔

    ・ 硬膜外針を穿刺する ・ 硬膜外腔(除圧)に達した所を確認する。

    ・ 針を刺し、押されるような感じがするが、動かないよう説明する。

    ・ 痛みの有無を確認し、医師に伝える。 ⑤カテーテル挿入 ・カテーテルを挿入し、放散痛、血液や髄液が吸引されないことを確認する。

    ・ カテーテルの神経根刺激による下肢や腰部の放散痛の有無を患者に確認する

    ⑥テストドーズ

    ・局部麻酔薬2〜3mlを試験量として注入する。カテーテルが血管やクモ膜腔に入っていないことを確認する。

    ・ 局所麻酔薬の血管内誤注入による耳鳴り、クモ膜下誤注入による下肢の運動不能などの症状を患者に確認する。

    ⑦カテーテルの固定

    ・ 患者にカテーテル挿入が終わったことを告げる。

    ・ 背部を清拭しカテーテルが骨部で圧迫されないような位置でカテーテルを透明フィルムと絆創膏で固定する。

    ⑧体位変換

    ・ 患者を仰臥位に戻す。

    ⑨麻酔レベルの確認

    ・ 温冷感の麻痺レベルと交感神経の麻痺レベルが一致する。

    ・ 痛覚の麻痺レベルは温冷感と交感神経の麻痺レベルより、2.3分節尾側である。

    ・ アルコール綿で冷感の消失(コールドテスト)、尖ったもので、痛覚の消失(ピンプリックテスト)を確認する。

    ・ 穿刺部位、カテーテル挿入の長さ、投与した局所麻酔薬の種類と量、脊髄神経の遮断範囲を確認し、記録する。

    ③麻酔導入の援助  

    全身麻酔下で手術を受ける患者は、意識消失・無痛・筋弛緩状態に置かれ、自分の安全・安楽を守ることができない。

    多くの患者にとって手術は道の体験であり、手術や麻酔に対する不安や恐怖心を持っている。麻酔により、身体機能が抑制され、機器的状態に陥りやすいこと、長時間の体位固定による皮膚損傷や神経障害、手術部位感染(SSI)など手術にともなう合併症を起こす危険性がある。手術室看護師は手術侵襲、麻酔の生体への影響を熟知し、患者が身体的安全・安楽が得られ、不安や恐怖心が軽減することにより精神的安楽が得られることを目標に看護を行う。

    ①患者の手術室入室から麻酔導入までの看護  

    手術室への患者搬送から麻酔導入までは、患者が最も緊張し、不安が強い時期である。手術室看護師は、患者の観察により不安感や緊張の程度を察知し、1つひとつの処置を超えをかけながら行い、必ず側にいて笑顔で接することで安心感を与えるように援助する。
    < br />(1)手術室への患者搬入  患者は、歩行、車椅子、ストレッチャーなど様々な方法で、入室する。

    看護師はマスクをはずし患者に笑顔で挨拶と自己紹介をする。患者誤認を防ぐために患者に氏名を名乗ってもらい、識別バンドとカルテで氏名、生年月日、血液型、ID番号を確認する。  

    麻酔前投薬をされた患者の場合は、鎮静薬による意識状態の変化、呼吸抑制の有無や分泌物抑制薬による口渇の有無を観察し、病棟のストレッチャーから手術室のストレッチャーに静かに移す。  

    歩行で入室した場合は、疾患、術式、手術部位、麻酔前投薬・浣腸など術前処置の施行状況とその効果、バイタルサイン、血液型、感染症の有無、持参品などについて、病棟看護師から引き継ぎを受け、患者が安全に全身麻酔と手術を受けられる状態であることを確認する。

    (2)麻酔導入の準備

    ①各種モニターの装着  

    麻酔や手術による呼吸・循環・体温の変動は大きく、患者の状態を持続的に観察し、異常を早期発見し対処することで、患者を安全に管理するため、患者に種々のモニターを装着する。

    ・ 心電計:HR(不整脈・心筋虚血)を観察。

    ・ 血圧計:末梢静脈ラインと反対側の上腕に装着する。上腕動脈を触れる部位を確認し、マンシェットを巻く。

    ・ Sop2:呼吸状態の指標 血圧測定と反対側に装着 ・ カプノメータ―(呼気終末炭酸ガスモニター):肺から排出される二酸化炭素を測定し、換気が正常に行われているか否かの指標となる。

    換気用マス行くや呼吸器回路に組み込まれている。

    ・ 体温計:直腸温・腋窩温・食道温・鼓膜温など深部体温を測定する。骨盤内の手術では、食道温・鼓膜温を選択するなど、手術の妨げや手術による影響を受けにくい部位で測定する。

    ②末梢静脈ルート確保の介助  手術時の末梢静脈ルート確保は、血管内留置針を用いる。体動や体位変換により固定が外れることのないよう確実に接続し、ループをつくり、引っ張ってもすぐに抜けないように絆創膏で固定 ※麻酔導入から気管挿管までの手順と看護 麻酔導入の手順(麻酔医) 看護師の援助

    ①患者入室

    ②モニター装着 ・ 血圧計、心電図、Spo2を装着する。

    ・ V.Sをチェックする。

    ③末梢静脈ルート確保 ・ 末梢静脈ルート確保を介助する。

    ④酸素投与 ・マスクを当て、酸素投与を開始する。 ・ 患者にこれから麻酔が始まり、だんだん眠くなる事を話す。 ⑤静脈麻酔薬投与、吸入麻酔薬投与

    ・ 睫毛反射や呼名反応で眠ったことを確認する。

    ・ 意識消失後、マスクによる補助呼吸を開始する

    ・ 患者の意識状態を観察する。 ・ 麻酔薬による血圧・脈拍の変化を観察する。

    ・ 呼吸状態の観察がしやすいように胸部から腹部の掛け物を外す。

    ・ 胸郭の動き、Spo2値を観察する。 ⑥筋弛緩薬投与 ・筋緊張が消失したら、調節呼吸を行う。

    ・ 胸部の動きや自発呼吸の消失で、筋弛緩薬の効果を観察する。

    ⑦喉頭展開

    ・ 喉頭鏡で喉頭蓋を挙上し、喉頭展開をする。

    ・ 口腔内の分泌物・吐物がある場合は、口腔内を吸引する。

    ・ 喉頭鏡を麻酔医に渡す。

    ・ 口角を軽く引き、視野を広げる。

    ・ 吸引を介助する

    ・ 喉頭鏡による歯牙損傷、口唇損傷の有無を観察する。

    ⑧気管チューブ挿入

    ・気管チューブを挿入する。

    ・ 気管チューブを麻酔医に渡す。

    ・ スタイレットを抜き、チューブと麻酔回路を接続する。

    ・ 気管チューブ挿入による喉頭咽頭刺激で血圧が上昇しやすいので、血圧を頻回に測定する。

    ⑨呼吸音の聴取

    ・両側の肺の呼吸音を聞き、チューブの位置が確実に気管内に挿入されたことを確認する。

    ・ 呼吸音が聴取され、チューブの位置が確実に気管内に挿入されたことを確認する。 ・ 左右の胸郭の動き、皮膚の色調を確認する。 ・ カフを膨らませ、カフ圧を調節する。

    ・ バイタルサイン、動脈血酸素飽和度、カプノメータ―値をチェックする。

    ⑩気管チューブの固定

    ・バイトロブロックを挿入し、気管チューブを固定する。

    ・ バイトロブロック挿入、気管チューブ固定を介助する。

    ・ チューブの径と固定の長さを確認し記録する。

    ⑪人工呼吸開始

    ・ V.S、呼吸状態に問題がないことを確認し、次の援助を開始する。

    (3)麻酔導入から気管挿管までの援助  モニターを装着し、V.Sをチェックし、末梢静脈ルートを確保されたら、麻酔導入と気管挿管を行う。

    麻酔導入から気管チューブの挿入までは、自発呼吸から意識消失、筋弛緩、人工呼吸開始と患者の呼吸・循環動態が大きく変動する時期である。看護師は、呼吸状態、血圧の急激な変化、不整脈、心電図の虚血性変化などの異常の出現に注意し、患者の全身状態を観察しながら、迅速かつ正確に麻酔医の介助を行う。

    (4)膀胱留置カテーテルの挿入  

    Ba留置カテを挿入し、術中の尿量を測定し、腎機能や循環血液量の指標とする。カテは、感染防止のために連結チューブ、蓄尿バッグが一体構造になった閉鎖式持続尿回路を用いる。

    Ba留置カテを無菌操作で挿入し、尿の流出状態を観察し、カテの屈曲がない位置で女性は大腿部に、弾性は下腹部に絆創膏で固定する。

    (5)電気メス対極板の装着  

    電気メスは電気メス本体・メス先電極・対極板で構成される。
    電気メス本体からの高周波電流が電気メスホルダーに流れ、メス先電極で組織の切開と凝固を行う。

    高周波電流は、メス先電極から生体組織を通って、対極板に回収される。対極板の面積が小さい、シワにより皮膚との接触面積が小さいなどの場合には、電流が集中し、電流密度が増大した部位に火傷を起こす危険性がある。また、皮膚が金属や水分と接触している部分に電流が流れ、火傷の原因となる。対極板は、大腿部、殿部、腰背部など、十分な面積をもつ平らな部分で、消毒液や血液、洗浄水が流れこむ危険のない部位に貼用する。

    ・ 他に術中にNSが留意すべきことは?

    ・ 患者は術中どのような姿勢ですか? ⇒褥瘡、神経圧迫による麻痺

    麻酔覚醒時の援助


    ①手術終了〜麻酔覚醒、気管チューブ抜去(抜管)の看護  手術が終了したら、患者の麻酔からの覚醒状態を観察する。

    意識があり、呼びかけに頷きや開眼で反応することができる。
    自発呼吸
    で1回換気量と呼吸回数が十分である。咳嗽反射と嚥下運動がある、筋力が回復し握手ができるなど、抜管の条件を満たしていることを確認する。  麻酔覚醒から抜管までは、人工呼吸から自発呼吸への移行期であり、創部通や抜管の刺激などにより、呼吸・循環系の変動が予測される。

    看護師は、患者から目を離さず、バイタルサインを観察しながら、麻酔医の抜管の介助を行う。麻酔覚醒が不十分な状態で抜管すると舌根沈下などによる上気道閉塞をきたすことがある。抜管後は、呼吸状態やチアノーゼの有無、意識状態を観察し、異常時にはエアウェイの挿入や再挿管ができるように準備を整えておく。

    ②麻酔覚醒時の苦痛の緩和  

    麻酔覚醒直後は、創部痛だけでなく、ドレーン挿入部痛、Baカテやマーゲンによる不快感、気管チューブ挿入による咽頭痛など、様々な苦痛がある。呼吸抑制による呼吸困難感、悪寒戦慄、術式や麻酔の影響を予測し、患者の訴えをよく聞き、表情やバイタルサインの変化から苦痛の原因や異常を早期発見し対処する。

    (1)呼吸抑制


     原因:吸入麻酔薬、麻薬などの全身麻酔の影響、筋弛緩薬の遷延性効果、覚醒遅延時の舌根沈下による気道閉塞、術後の疼痛 看護:呼吸困難感の有無、呼吸状態、バイタルサインのチェックを行い、麻酔医の指示量の酸素吸入を行う。患者に深呼吸を促す。舌根沈下がある場合は枕の高さを低くする、頸部屈曲など体位の工夫をする、気道を確保するためのエアウェイを挿入することもある。

    (2)創部痛


    原因:術直後の創部痛は、手術操作による組織損傷に伴う痛みと創部の炎症に伴う痛みによって生じる。開腹術や開胸手術では、内臓痛、ドレーンの腹膜、胸膜刺激による疼痛などが生じる 看護:疼痛は、呼吸異常や末梢血管収縮による高血圧、不安や恐怖感の原因ともなるので、適切な疼痛管理をする。患者の訴え、表情や体動を観察し、疼痛の程度、種類、部位を把握する。安楽な体位をとるなど工夫するとともに、麻酔医と鎮痛薬の適応を判断し、鎮痛薬を投与する。

    (3)低体温による悪寒戦慄(シバリング)


    原因:手術中からの低体温が持続すると、麻酔覚醒後には熱産生のための反応としてシバリングが起こる。シバリングが起きると、酸素消費量が増加し、低酸素症に陥りやすい。 看護:手術終了時には、血液や洗浄液、消毒液を温タオルで拭き取り、乾いたリネンで身体の露出を最小限にすること、体温や末梢皮膚温を観察しながら、室温を調節し、温水マットや温風加湿装置を用いて加湿することで、対応の低下を防ぐ、リバリングでは、酸素消費量が増加するので、Spo2をチェックし、呼吸状態を観察するとともに、麻酔医指示の酸素吸入を行う。

    術後・術直後の看護


    ①手術の侵襲度や原疾患の重症度、患者状態などに応じた間隔で、意識、呼吸、循環、出血、術後疼痛などをモニタリングする。

    ②正常からの逸脱が生じた場合には、その状態が安定するまで頻回に観察

    ③術前状態および直前状態と比較しながら観察する。

    ④移動前・移動中・移動後のモニタリングは重要である。

    ⑤術前・術中の情報から、起こり得る可能性の高い術後合併症を予測しておく。

    ⑥手術・麻酔の侵襲に対して恒常性を維持するための合目的な生体防御反応を考慮して情報をアセスメントする。

    ⑦高齢者の場合には、手術・麻酔の侵襲に対する予備力や臓器機能が低下しており、生体反応が明確にあらわれないことがある。

    術直後のリスク状態とモニタリング


    リスク 原因 モニタリング指標 治療・ケア 意識 麻酔覚醒遅延 麻酔薬・筋弛緩薬の残存 鎮痛・鎮静薬 低体温 低血糖・高血糖 電解質異常 高炭酸ガス血症

    ・低酸素血症 呼名反応 指示反応 痛覚反応 対光反射、瞳孔反射、睫毛反射 気道確保:頭部後屈顎先挙上

    ・下顎挙上 経鼻エアウェイ挿入 気管挿管 呼吸 気道閉塞 麻酔薬・筋弛緩薬の残存 舌根沈下 分泌物、出血、吐物 喉頭痙攣、喉頭浮腫 呼吸:数、パターン、リズム 呼吸音 Spo2 末梢酸素供給:チアノーゼ、皮膚の色、温度、 喀痰排出状況:量、性状、疼痛 動脈血液ガス分析 胸部X線検査 カプノメータ―による呼気終末炭酸ガス濃度 Co2 気道確保 口腔内吸入

    ・気管内吸引 酸素療法 疼痛マネジメント 体位変換 深呼吸の促進 吸入両方、肺理学療法 口腔ケア 低換気 麻酔薬・筋弛緩薬の残存 鎮痛・鎮静薬 低酸素血症 低換気 無気肺に伴う換気血流比不均衡 術後疼痛 シバリング 肺水腫、肺塞栓、気管支痙攣 循環 低血圧 麻酔薬の残存による末梢血管抵抗の減少 循環血液量の減少:術後出血、サードスペースへの水分の移行 体位変換 体温 脈拍、数、緊張、リズム 血圧 時間用量・尿比重 出血 ドレーン排液の量・性状 輸液・輸血量・速度 体重 末梢循環:皮膚の色、温度、湿潤 疼痛 三点誘導心電図 肺動脈圧、肺動脈楔入圧、心拍出量 RBC,Hb,Ht,PlT、電解質、酸塩基平衡 胸部X線検査 酸素療法 輸液・輸血管理 疼痛マネジメント 薬物療法:カテコールアミン、血管拡張薬、血管収縮剤 利尿薬 原因に対する治療 高血圧 高血圧の術前合併症 降圧薬からの離脱症状 高炭酸ガス血症、低酸素血症 頭蓋内圧亢進 疼痛 体位変換 過剰輸液 膀胱充満 シバリング 不整脈 洞性徐脈≦60/分 β遮断薬の使用 麻酔薬・筋弛緩薬拮抗薬の残存 心疾患の術前合併症 低体温、低酸素血症 アシドーシス ≧110/分洞性頻脈 術後の交感神経の活動亢進 疼痛 不安 低酸素血症 循環血液量の不足 アシドーシス 膀胱充満 期外収縮 術後の交感神経の活動亢進 急性循環不全 循環血流量減少性ショック 出血、脱水などによる循環血液量の減少 心原性ショック 心筋梗塞、心タンポナーデ、重篤な不整脈などによる心拍出量の減少 細菌性ショック 感染反応に対する低血圧と組織血液灌流の低下 DVT 肺動脈血栓塞栓症 血管壁の異常 血液のうっ滞 血液凝固

    ・線溶系の異常

    ・他には 代謝 シバリング 低体温 麻酔回復時の脊髄反射

    ①意識


    手術終了と現在の場所などを伝えながら、呼名や指示、痛みの刺激に対する反応を観察して、意識レベルをアセスメントする。意識レベルが低下しているようであれば気道確保など速やかなケアが必要である。

    ②呼吸


    全身麻酔下での術後には、術前と比較して最大換気量は40〜60%減少し、酸素消費量は20%増加する 術直後は、麻酔薬や疼痛の影響などにより、気道、換気、および血液酸素化が障害されるリスクが高く、呼吸は循環にも影響を及ぼす。  

    確実な酸素療法を実施し、麻酔覚醒直後から、積極的な深呼吸法を促進しながら、呼吸数、呼吸リズム、呼吸音、Spo2による末梢酸素供給、喀痰排出状況、低酸素血症の徴候などを観察する。これらの観察から得られた情報に加えて、動脈血ガス分析とその採血時の酸素吸入条件、胸部X線検査の検査結果を継続的にアセスメントして、呼吸の変化の推移を把握し呼吸器合併症(無気肺、肺炎、肺水腫、胸水貯留など)の予防と早期発見、対処に努める。 Spo2は非侵襲的かつ連続的に酸素飽和度をモニタリングできて有用であるが、不整脈や低血圧、末梢循環不全の状態では測定誤差が大きく、注意が必要である。

    ※ 低酸素血症の徴候 初期徴候 頻脈、頻呼吸、血圧上昇、情動不安 進行期徴候 呼吸困難、不整脈、血圧低下、チア�
    ��ーゼ、意識低下

    ※動脈血ガス分析

    項目 基準値 指標 Pao2 80〜100 酸素化 PaCo2 38〜46 換気、炭酸ガス排出能 Sao2 95〜100% 血液の酸素運搬力 pH 7.40 ±0.02 酸塩基平衡 塩基過剰BE 0±2 酸塩基平衡 HCO3 24±2 酸塩基平衡

    ③循環


    術直後には、術前・術中の影響に加え、サードスペースへの細胞外液の移行によって、有効循環血液量は不足になり、一方で、代謝の亢進に伴う組織の酸素消費量の増大により、必要循環血液量は増加する。循環系の十分な酸素運搬機能が保持されない場合には、急性循環不全に陥るリスクが高い。 ※ 急性循環不全の徴候 血圧低下、瀕・徐脈、不整脈、全身の虚脱、チアノーゼ、冷汗、皮膚温の低下、時間用量の減少 体温、脈拍、血圧、時間用量、ドレーン排液量などに加えて、心電図波形を観察する。これらの観察から得た情報に加えて、検査データを継続的にアセスメントして、

    循環の変化の推移を把握し、十分な酸素投与下で、適切なヘモグロビン値、脈拍、血圧、尿量を維持、すなわち循環血液量を維持しながら、低酸素血症、循環器合併症(心筋梗塞、不整脈、心不全、DVTなど)の予防と早期発見、対処に努める。


  • 腰部脊柱管狭窄症 〜基本的な看護と関連図について〜

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    整形外科や急性期の実習に入る学生さんにとって一番遭遇しやすい疾患のナンバー10にランクインしている代表疾患ですね。

    意外と参考文献や病態関連図がないことでも学生さんが苦戦する疾患となります。 

    この疾患を理解していると腰椎椎間板ヘルニアにも理解や看護の応用もできるようなります! しっかりと理解を深めたいですね!

    吹き出し イラスト6

    腰部脊柱管狭窄症 〜基本的な看護と関連図について解説しますね!



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    成人看護1 急性期・周手術期

    周手術期の患者さんを受け持つ場合、展開が早く、術前、術中、術後の看護のアセスメントを素早く行う事が必要になります。

    しかし、学生さんは事細かく一つ一つアセスメントした内容を記録していかなければなりません。

    この参考書は一つ一つの観察項目や根拠、アセスメントの内容について記載されているので、そのままアセスメントや記録に内容を変更せず添付することができます。

    周手術はとにかく展開が早く記録が間に合いません。 教員や指導者さんに指摘される前に記録を仕上げていくためにもこの一冊を購入して準備しましょう。

    脊椎の疾患だと神経系の事も頭に入れて看護を行わなければいけません。

    しかし、神経は「とにかく複雑」ということです。

    こちらの本は学生さんでも理解しやすいように実際の画像などが載っていて非常に見やすい一冊になります。

    ぜひ、一読しておく事をおすすめします。

    脊柱管狭窄症

    1.腰部脊柱管狭窄症の病態生理ってなに?

    腰椎脊柱管狭窄症では腰痛、下肢痛を主訴として外来を受診する患者さんが多いです。

    保存的治療が無効であったり、神経障害やADL制限が高度であったりする場合、手術適応になります

    ①概念


    腰部脊柱管狭窄症とは、脊柱管、神経根管、椎間孔が狭小化し、馬尾や神経根の障害が出現しているもので、腰痛、下肢痛、間欠跛行などの症状を呈する。脊柱管要素(椎間関節、椎間板、靭帯)は、加齢変性により肥大や膨隆が起こることから、多くは中年期以降(一般には中年期(45歳)移行に多いです。

    ②分類


      腰部脊柱管狭窄症を原因別に分類した国際分類があります(看護にとって意味がないので載せません) 臨床で遭遇することが多い脊柱管狭窄症は、加齢現象から生じる変性性のものになります。

    つまり、椎間板の変性から椎間板腔の狭小化、脊柱管側への膨隆、椎間関節の退行変性による肥厚、後方の黄色靭帯のたるみ、肥厚などによって、中心性狭窄または外側部狭窄を生じて発症します。

    症候別分類として馬尾形・神経根型・混合型があります。

    2.腰椎脊柱管狭窄症の症状ってなに?

    ◯腰痛 ふつう激しい腰痛はなく運動時の腰部の鈍痛体幹後屈時の疼痛がみられることが多いです。 ◯下肢症状神経根性疼痛 下肢に放散する痛みが生じます。馬尾傷害に伴い、立位・歩行時に両下肢から会陰部にかけての痺れや冷感、灼熱感、ひきつれ(つっぱり感)、締め付けなどがあります。 ◯間欠跛行 腰部脊柱管狭窄症による間欠跛行は腰椎の伸展、立位や歩行負荷によって症状が出現し、腰椎の前屈や屈み込み、座位で症状が軽減・消失します。 難しいように書いてありますが、簡単にいうと普通に歩いている段階で痛みが増強して座り込んでしまうってことです。入院前にこの症状が現れている事がほとんどなので実習で受け持ちになったときは、手術前と後で症状の度合いの観察のため、何メートル程度で症状が現れるのかしっかりと情報収集していく事が大事です。  

    3.腰部脊柱管狭窄症の検査って何やるの?

    ①単純X線検査

    ②MRI検査

    ③脊髄腔造影(ミエログラフィー) 神経根造影:下肢痛があり、責任病巣が不明の場合、神経根を造影し痛みの原因となっている神経根を診断する場合に行う。 ④神経電気機能診断 などがあります。 ここで重要な検査はミエログラフィーになります。

    ミエログラフィーについてはこちらをご参照ください

    4.いよいよ手術だぞ! 準備は良いかな?

    手術適応となる基準は大まかに 高度な麻痺がある 保存療法の効果がなく症状が持続したり悪化している 日常生活に著しい不便を感じる 膀胱直腸障害が生じている 社会生活やスポーツ活動の制限を解消したい場合があげられます。

    ◯手術の種類について  


      ここから重要です 

    術前・術後の患者さんを受け持つ場合、術式については理解し、どのような侵襲があり、予後について、観察など影響がどのように生じるのか理解しておく必要があります。

    腰椎後方除圧術  

    不安定性のない腰部脊柱管狭窄症に対して、障害レベルの後方要素を部分切除する。

    拡大開窓術(両側、片側進入両側除圧、棘突起縦割式など)

    広範囲椎弓切除術

    腰椎後方除圧固定術 術前の椎間板不安定性がある病態や除圧操作による椎間不安定性が出現する可能性がある場合、除圧操作に加えて固定術を行う。

    ⇒すべりや腰椎不安定性を有している場合に、除圧術と併用して行う。椎間の上の椎体と下の椎体を癒合させることを目的としている。

    後側方腰椎固定術(PLF) 後方から椎間関節、横突起を展開して骨移植をする。
    最も一般的な方法である

    腰椎前方親友椎体間固定術(ALIF) 前方から椎体間を掻爬して骨移植する方法である。

    ⑥後方経路腰椎椎体間固定術(PLIF) 椎弓根スクリューを併用して、後方から脊柱管除圧と除圧部からの椎体間固定術を行う方法である。

    経椎間孔的腰椎椎体間固定術(TLIF) 椎間関節を切除して椎間孔部から後方椎体間固定術を行う方法である。

    神経除圧術


    術前評価で腰痛があまり強くなく、画像で脊椎間の大きな動きや側弯変形、すべり(不安定性)などがない場合は、神経除圧術が単独で行われる。神経圧迫の原因となっている椎間関節内側部や黄色靭帯、椎弓の一部分を切除する。椎弓切除術、内側椎間関節切除術、拡大開窓(かいそう)術などと呼ばれ、基本的に侵襲は少ない。

    脊椎固定術


    術前から不安定性がある場合や、神経除圧操作で脊椎を安定させている支持組織(とくに椎間関節)の大部分を切除する必要があった場合は、除圧と一緒に行われる。最も一般的なのは、椎弓外縁から横突起間に骨移植(普通自家腸骨を利用)する後側方固定術であるが、後方から椎体間に骨などを移植する後方進入椎体間固定術も最近は行われている。固定術の際、脊椎のすべりや側弯など異常姿勢の矯正、術後の装具の簡略化、早期離床開始やリハビリ、また確実に骨癒合を得ることなどを目的として内固定金属(インストゥルメンテーション)が同時に使用されることが多い。

    予後


    間欠性跛行は手術でよく改善し、多くの患者は歩行困難が解消される。一方、安静時のしびれは神経組織自体の死滅に起因することが多く、術後も残ることが多い症状の一つである。したがって、全体としては手術による改善率は60〜70%前後である。手術を行っても時間が経てば次第に症状が悪化したり、手術を行った椎間以外で脊柱管狭窄症が発生することもある。

    看護 入院〜退院までの看護ポイント


     

    入院〜手術前日まで 1.術前状態の把握


    入院時の神経症状、疼痛部位、ADLの状態を把握する。特に手術前の神経症状を把握しておく事は経過を観察する上で重要である。入院時の歩行状態が不安定な時は、必要に応じて歩行器や車椅子を利用しての移動を勧める。

    既往歴の確認


    心疾患、高血圧、糖尿病などは必ず既往を確認し、異常があれば手術前にコントロールすることも必要となる。内服薬では特に抗凝固薬、抗血小板薬は医師に報告する。手術中の出血量増大の恐れがあるため、手術前に服薬を中止する必要があるからである。手術後は排液ドレーンからの出血が落ち着くのをめどに医師に確認のうえ再開する。

    周手術期管理


    腰椎手術術後は通常のバイタルサインの確認も大切であるが、術後ドレーン廃液量、下肢神経症状の確認も大切となる。

    ドレーンの管理


    経時的な廃液量の推移とともに廃液の性状も記録する。廃液量も減少し、廃液の性状が血性から淡血性になることがドレーン抜去の目安になる。また、髄液が濾出していないかどうかも確認する。髄液は、最初は血液に混じって淡血性のようにみえるが徐々に透明になる。

    神経症状の管理


    術後に麻痺が出現する可能性があり、その対応は急を要する。術後に麻痺が出現する可能性が高いものは硬膜外血腫である。手術創内の出血がドレーンから吸引されずに貯留し、神経を圧迫して麻痺が出現するためである。激しい疼痛のみのこともあるが、麻痺を呈する場合もある。

    緊急で血腫除去手術を行わないと麻痺が残ることがあるため、定期的に患者の足が動くか確認する必要がある。血腫を疑った際は医師に報告する。 ※ 看護ケアの注意点:髄液が濾出すると、低髄液圧症に陥り患者は頭痛や嘔気を訴
    え始める。髄液漏を疑った際は、必ず医師に報告する。

    ※ 看護ケアの注意点:術後の麻痺の有無を知るためには、術前にどの程度の麻痺があったかのかを把握しておく必要がある。

    患者指導


    除圧術のみの場合は、腰椎椎間板ヘルニアと同じである。少なくともコルセット装着を医師に指示されている気管は、腰椎にかかる負担を減らすよう説明する。固定術を受けた場合は1〜2ヶ月はコルセットを装着してもらう。

    疼痛の緩和


    術前から痛みが強い例では、痛みを我慢せずに鎮痛薬の投与を行い、その効果を確認する。効果がない場合は、他の薬剤や神経ブロックも検討する。

    検査・手術の説明


    入院後は多くの説明が行われるため、患者は混乱することがある。「説明したこと=患者が理解したこと」とは限らないので繰り返し説明し、かつ最終的な理解度を確認する。

    手術前の訓練


    予定手術内容に応じた体位変換、寝起きの方法、端座位から立位への練習をしておく。  とくに固定術は繰り返しの回旋や捻転によって内固定金属の緩みや移植骨脱転の恐れもあるので十分に注意する。

    コルセットの準備


    手術後に使用するコルセットの準備をしておく。施設あるいは手術内容によって異なるが、軟性コルセットまたは硬性コルセットを作製する。極力、手術前に着脱の練習を完了させておく。

    手術日 │手術前の観察


    バイタルサインを中心に手術前の状態を確実にチェックする。熱発や血圧上昇などの異常時は医師に報告し対処する。

    手術後の観察


    ①麻酔覚醒状態とバイタルサインを経時的に観察する。手術・麻酔記録から手術中の血圧、出血量を把握しておく。
    麻酔の方法や麻酔薬の種類によっては呼吸抑制、悪心、腸蠕動運動の異常もありうるので、使用薬剤や麻酔内容も確認しておく。

    ②神経症状の観察  足趾や足関節の背屈、底屈、膝伸展など下肢運動機能を観察する。知覚は両下肢全体のほか、会陰部や肛門周囲も観察する。

    これらを、手術前の神経症状と比較することが大事である。術後に神経症状の悪化がみられる場合はすみやかに医師に報告する。  まれに血腫による疼痛、神経麻痺を起こすことがあるので、注意深く観察しなければならない。

    疼痛の緩和


    A〉疼痛の有無、部位  創部中心の痛みは指示に従い、座薬や注射によって緩和を図る。仰臥位でいる場合は膝下に枕を入れ、膝、股関節軽度屈曲位を取ると腰椎の負担が軽くなり、疼痛が軽減することが多い。

    また、積極的な体位変換も有効な場合がある。 B)体位変換  体位変換を行い、同一体位による苦痛を取り除く。このとき手術部位への負担となる回旋、捻転は極力避け、棒状体位変換を心がける。

    その際、点滴チューブ、Baカテーテル、排液ドレーンなどに牽引や圧迫がかからないように注意する。

    麻酔覚醒が不十分なときは腓骨神経麻痺や橈骨神経麻痺を起こしやすいので四肢の姿位の観察も怠ってはならない。

    全身合併症の予防


    体液バランスに注意する。特に高齢者では過剰な輸液で容易に循環器、呼吸器合併症を起こすので、手術中の体液バランスも考慮した上で絵、輸液管理を行う。また、手術後は低酸素血症を起こしやすいので、酸素投与を行う。麻酔覚醒前の不穏時などは酸素マスクや経鼻カヌラの固定に注意し、酸素吸入が確実に行われるようにする。

    深部静脈血栓症の予防


    手術室入室から弾性ストッキングを着用する。手術終了後は足関節の自動運動を行う。自動運動が行えない時は他動的に行い、下肢静脈の還流を促し、静脈血のうっ滞を予防する。弾性ストッキングは歩行が確立するまで装着する。  飲水・補液を行い、脱水にならないように留意する必要がある。

    手術翌日〜術後1週間目まで


     ADLの拡大


    麻酔薬の影響や手術の侵襲を考慮し、患者の状態にあわせて拡大していく。患者の状態にもよるが、手術の内容に関わらず、原則的に手術翌日からコルセットを装着して離床を開始する。

    車椅子では腰椎への負担が増すため、歩行器で歩行する方が苦痛が少ない場合が多い。

    最初は看護師が付き添い、トイレに行くことから始める。  排液ドレーンの固定状態に注意を払う。ドレーン用の袋に入れて方から下げると動きやすい。

    行動が拡大してきた後の神経症状に変化がないかを観察する。また、周術期のストレスや薬剤の影響で胃・十二指腸潰瘍を併発することがあるので、食事の摂取状態や消化器症状についても注意が必要である。特に腰痛、便の性状に注目する。

    創感染への注意


    排液ドレーンは抜去までの期間、量、性状を観察する。

    普通、除圧術のみが行われた場合は24時間、固定術併用では2〜3日間留置している。

    抜去の目安として、性状は濃赤色の血性が、薄黄色の漿液性になってくるのを観察している。

    まれに漿液性が100mlを超えて続くことが有り、その場合は硬膜・クモ膜損傷による髄液濾出の可能性がある。その状態でドレーンを抜去すると筋創下に髄液が駐留し、さらに層が哆開するなど感染の要因となりうるので、十分に注意を払う。髄液濾出の副作用予防のため、飲水の励行や補液で対処する。

    創部の発赤や熱感がないかどうか観察する。発熱、血沈、CRPの推移などから感染徴候に注意する。

    コルセットの自己着脱


    創痛が緩和してきたら、コルセットの事故着脱や自力体位変換も可能となる。術前訓練をもとに再始動する。

    術後1週間以降


    術後1週間以降


    ①リハビリが開始となる。体幹筋力が脊柱の支持性に重要であることを説明し、腹筋、背筋、下肢筋力訓練をコルセット装着下で行う。
    リハビリ開始後、神経症状に変化があったときは医師に報告し、リハビリを継続するか否かを検討する。
    リハビリ開始時期と内容は、年齢や手術方法を考慮して行う。

    ②コルセットのサイズが身体に合っているか、装着部位は正しいかどうかを確認する。上前腸骨蕀部にはだいたい外側皮神経が通過しているため、不適切なコルセット装着ではだいたい外側皮神経障害を起こすことがある。
    コルセットの前下縁は、上前腸骨蕀のやや頭側までの位置で装着されるべきである。

    ③術後7〜10日目に行われる抜糸後には、シャワー浴が開始となる。固定術の場合、コルセットを抜去し立位で行う。
    体幹の過度な前後屈や回旋をしないようにし、自分で洗うことが出来ない部分は介助をする。
    ある程度自由な運動が許容される除圧術の場合は、椅子に座ったままで行える。異常がなければ2回目以降、浴槽内入浴も可能である。

    術後2週目以降


    ①除圧術の場合は術後10日〜2週で退院としている。
    退院前には創部、コルセットをチェックする。退院指導を行い、職場復帰の時期、コルセットの装着期間について説明する。

    固定術の場合は術後2〜3週で退院可能となる患者が多い。
    退院に向けて入浴の練習を行う。コルセットを除去し、椅子に座り身体を洗うことが出来、浴槽に入ることも可能である。
    体幹の過度な動きを避けて行う。 
    創部、コルセットのチェックを行う。コルセットのサイズが合わなければ退院前に修正する。

    退院指導


    除圧術  

    コルセットは術後1ヶ月間、就寝時以外装着する。以後は腰に負担がかかるときのみの装着で良い。
    術後1ヶ月でスポーツ、重労働も可能、病院で行なっていたリハビリを継続して行う。

    固定術  

    内固定金属の使用の有無や固定制によるが、基本的に骨癒合が得られるまでコルセットを装着する。
    骨癒合には個人差があるが、3〜6ヶ月かかる。手術後3週をめどに、就寝時は身体を拗じらなければ外して良い。
    手術後4週以降、家事や軽作業は可能、骨癒合が得られたら重労働、スポーツが可能、病院で行なっていたリハビリを継続して行う。


  • NICU編 実習に行ったら、「感じた事、学んだこと」のレポートあるじゃない? 

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    今回の記事は適当に30分で書いたものです。 NICUの実習の事を思い出しながら書いたので日本語が不自由だったりしていますが、見なかった事にしてください。 20180525135805a30.jpeg

    吹き出し イラスト6

    NICU編 実習に行ったら、「感じた事、学んだこと」について例文を紹介します!



    広告配置 終わり–> 早産児、周産期呼吸のあるベビーを受け持たせて頂きベビーは保育器に入っており実際の保育器の中に手を入れ援助する際の留意点、清潔操作の重要性を学ばせて頂きました。また、実際にバイタルサインを行わせて頂きました。

    NICU内での環境では汚染区域、廊下から離れており部屋内に陽圧になっている。また、窓にはブラインド、遮光ができるようになっており眼底検査ができるようになっている。

    搾乳は一ヶ月有効であり乳は血液と同じ扱いを行い他ベビーとの取り違いに注意して行う事が重要である。母乳が足りなかった場合は栄養価よりミルクが作ってある。人工乳は24時間内使用できる。 低出生体重児への沐浴や清拭は低体温になりやすいため必ず保温に努める。保育器に入っているベビーは保育器の温度を上げてから行う場合もある。

    採尿では陰部・殿部を洗ってから行う。また肛門にかからないようにする。うまくできなく何回か張り替えるが皮膚が赤くなってしまうので、確実に行うように注意する。

    血液検査(マススクリーニングや血算など)は早産児の場合は診断を確実にするため2回採血する場合がある。また、採血する際、足の場合は骨の近くだと骨髄炎になるリスクがあるため注意が必要である。 ディベロップメンタルケアでは成長発達因子の阻害因子を取り除く。モニターの同期音はさせない。泣いている時は体重が増えないため授乳などを行う。余計な時に刺激しない。不必要に起こさない。目が覚めた時にケアを行う。昼夜のリズムでは21時に暗くし日照リズムを整える。音では子宮内40〜60デシベル、保育器は70デシベルである。刺激が少なくするように援助する事が大事となる。

    ホールディングではロールタオルなどでぴったりとくっついているとベビーが安心する。 先天性マススクリーニングは日齢5日目より行い哺乳できている事が前提で行っている。

    呼吸異常について週数に留意して呼吸中枢が未熟である事があり無呼吸の際は刺激を与えて呼吸を促す。ポジショニングとして腹臥位にするが突然死症候群などのリスクがあるためモニター類で状態の確認を行う。

    実際に実習を通しての学びでは早期産などでベビーの状態、母親の心理状態含めて関わりを持つ必要があり、特に母親の精神的不安が強くなっており、母親の不安、退院を見据えての育児支援、その日のベビーの状態を面会ノートに書いたり、沐浴を行う際や直接授乳を行う際など助産師さんの支持的な関わり、主治医からの説明などを含めてファミリーケアの重要性を学ばせて頂きました。

    実際に保育器内に収容されているベビーを受け持たせて頂き実際のバイタルサインの測定を行い動いたり泣いたりしていると安定した心拍数や呼吸が測定できず、周産期呼吸がありSpo2や呼吸数にばらつきがあり寝ている時に測定し、かつ刺激を与えないように行う必要性を学ばせて頂き又、刺激しないようにバイタルサイン等を行うための技術が必要であると改めて重要性を学ばせて頂きました。 酸素を投与されており高濃度の酸素を投与すると未熟児網膜症に陥るリスクがあり、十分に観察していく必要があることを学ばせて頂きました。また、授乳場面を見学させて頂き、哺乳瓶での飲ませ方、ラッチオンの観察、排気の方法、抱き方含めて未熟児にかぎらずお母さんが24時間授乳を行う大変さや技術を有することだと学ばせて頂きました。また、未熟児の場合、吸啜力も弱いため、酸素飽和度が低下したり体力の消耗にも繋がり授乳一つとってもリスクがあり適切なモニタリングと観察を行う事の重要性を学ばせて頂きました。

    沐浴を見学させて頂き、助産師さんが母親に沐浴を説明してる際も、背中を洗う場面の留意点など分かりやすく説明し、お母さんの反応を確認しながらお母さんがどの場面を行う際、心配なのか細かな反応を観察している場面を見学させて頂き、沐浴指導含めて、お母さんの細かな反応や言葉に耳を傾け支援していく重要性を学ばせて頂きました。 未熟児は体温調節や呼吸機能なども未熟であり、母親からの免疫抗体も十分に移行されていないため感染を受けやすく、そのため、手指消毒や哺乳瓶などの物品の消毒を徹底して感染予防に努める必要性を学ばせて頂きました。また、環境調整ではベビーの身体的負担を強いないため室内温度・湿度を適切に保つ事の重要性を学ばせて頂きました。

  • 小児科実習で「やれ」と言われるプレパレーションについて これで悩まない

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。
     
    よく「看護学校の小児科実習があります。小児科では、どのような検査が有るでしょうか?また吸入や、プレパレーションの他に、どのような事前学習を行えばよろしいですか?」との内容のご相談を多数受けます。

    看護学生さんにとって、小児科実習は「未知の領域」であり、成人と違う視点で物事を捉えアセスメントしていく事が重要となります。しかし、まだ、経験も知識もない学生さんがいきなり「小児実習行って来い!と言われても戸惑うばかり

    他の科より恐ろしい実施指導者に怒られ、教員にも怒られ・・・  夜は不眠不休で記録や遊びを考え・・・

    泣きながら実習へ・・・

    とならないよう、事前に学習を積み重ねて実習にいけるようにしたいものです(それが中々できない・・・)

    今回は小児科実習で切っても切り離せない「プレパレーション」について解説したいと思います。

    大事な部分だけを列挙しているので学生さんの領域ではこれで十分かと思いますが、やはり臨地実習・・・

    これだけじゃ足りないと言われる可能性が高いです。

    ですのでしっかりと不足部分は調べて追加学習しておくことをおすすめします。

    吹き出し イラスト6

    プレパレーションについて解説しますね!



    発達課題3

    1.プレパレーションとは

    病気・入院・検査・処置などによる子どもの不安や恐怖を最小限にし、子どもの対処能力(頑張ろう、やってみようとする力)を引き出すために、その子どもに適した方法で心の準備やケアを行い、環境を整えること。

    発達課題5

    1-1.プレパレーションの目的

    子どもたちは生活経験が少なく、認識の発達レベルにおいても理解力に限度がある。そのため、病気や入院によって体験する見知らぬ出来事に、恐怖や不安が増すことは避けられない。また、親にとっても子どもの入院や疾病は不安であり、子どもにどのように対応してよいのか分からずにいる事が多くある。

    プレパレーションとは、子どもが病気や入院によって引き起こされる様々な心理的混乱に対し、準備や配慮をすることによってその悪影響を和らげ、子どもや親の対処能力を引き出すような環境を整えることである。

    プレパレーションの目的は、そのまま親にも適応されることであり、また、親が子どもの支えとなるためにも重要である。直接子どものみ、親のみを対象としたプレパレーションもあるが、基本的には親と子どもの双方に実施される。親は子どもを支える存在としてプレパレーションを受け、子どもの理解者であり協力者となってくれる。

    子どもの対処能力を引き出すプレパレーションは、単に準備のための説明や医療知識を提供することではない。子どもの心身の反応を十分に観察しながら、混乱が軽減されるまでの全ての過程(プロセス)を通して実施されるものである。

    その間、一つの介入方法が繰り返し行われることもあれば、様々な介入が行われることもある。大事な事はそのプロセスを経ていくことによって子どもの対処能力が培われ、問題やストレスに直面した時に自ら対応することができる力となることを助けることである。

    ☆看護目標

    ①子どもに正しい知識を提供すること

    ②子どもに情緒表現の機会を与えること

    ③心理的準備を通して医療従事者との信頼関係を築くこと

    ☆観察項目

    ①子どもがどのような情報をもっているのか

    ②どのようなことを知りたがっているのか

    ③子どもの理解する力はどの程度なのか

    ☆援助項目

    ①意図的にごっこ遊びを通して子どもの気持ちを観察する。

    ②非言語的コミュニケーションの観察

    ☆情報伝達での配慮点

     
    ①分かりやすく覚えやすい教材を作成する

    ②情報が明確(正確)に伝わるように図式などを利用する

    ③どのような順序で話すのか予め示す

    ④子どもができること、参加することの大切さを伝える

    ⑤医療者もともに協力する姿勢を伝える。

    ⑥一方的な伝達ではなく、子どもや家族の理解力に応じてフォローする。

    <子どもとのコミュニケーション方法>

    ①子どもと話すときには、子どもの目の高さに合わせる

    ②静かに落ち着いた声で話す

    ③出来るだけ少ない言葉で、はっきりと具体的に話す

    ④肯定的な話し方をする
    ⑤正直に話す

    ⑥何が行われるのか事前に知らせる

    ⑦気持ちを表出するための十分な時間を与える

    ⑧子どもが答える、反応するための時間を与える。

    ⑨問題解決に参加できるようにする

    ⑩子どもの成長・発達の知識を利用して、子どもの発達段階に合わせた接し方を工夫する。

    1-2.プレパレーションのプロセス

    ①アセスメントの段階

    ②説明の段階

    ③検査や処置中の気のそらす段階

    ④終了後の遊びの段階

    勉強5

    2.プレパレーションの方法

    マシューズ(Mathews.A)ら:3つの方法がある。

    (1)情報提供


    ①検査や処置の手順の説明  手順や順番を説明するときに、子どもの発達年齢に合わせたツールの活用

    ②子どもが体験する感覚の説明  この感覚が子どもにとって一番の関心事になる。どんな痛みなのか、今まで本人が体験してきた痛みと比較して説明することも効果的

    ③子どもが取るべき行動の説明  子どもに協力してほしいことと、してほしくない事をはっきりと伝える。 (ex:採血では泣いてもいいから腕を動かさないでほしいことを伝える)

    ④検査や処置の必要性についての説明

    必要性についての説明は当然必要になる。小学生以上になれば原因や症状の理解ができてくるので、必要性を説明すれば、それが子どもの気持ちを引き出すことに繋がる。しかし、就学前の子ども達にとっては、必要性は理解しても対処能力を引き出すことにはならない場合が多くある。「手術してよくなるために採血しなくてはいけないのが分かる?」と子どもに聞くと、多くの子どもが頷くが、「痛いのは嫌だ」と言い、腕を出してくれないことはよく経験することである。

    (2)モデリング(成功の代理体験)

    モデリングは、ビデオやスライドなどによって、同じ処置や検査を受けている患者を観察し、追体験を促す方法である。子どものため
    の喘息教室などもこれに入る。成功の代理体験をすることで、子どもの気持ちを引き出す。

    (3)対処行動の促進

    これは、子どものストレス・コーピングを考慮して行う方法である。気晴らしや方法を選択すること、支持の探索などが含まれる。泣いたり叫ぶことも一つの対処方法である。

    ①気晴らしや気分転換

    検査や処置以外の話(例えば、幼稚園の先生の話)をしたり、様々な音や光が出るものや動きがあるツールによって注意をそらすなどの気晴らしや気分転換があげられる。

    ②子どもをリラックスさせる

    リラクセーション技法は、ストレス反応、すなわち興奮した交感神経の活動を沈静化させる技術である。イメージ方や腹式呼吸がある。

    ③自己選択肢の提示

    例えば、採血をするときに、一人で座ってやるか、抱っこしてもらってやるか、または動かないで出来る自信がなければ、ベッドに寝てナースが動かないように手伝う方法のどれかいいかを選んでもらう事があげられる。  この方法は、幼児後期から有効である。幼児前期では、自分で選んでも実際には動いてしまうことが多いので注意が必要。

    ④支持の探索

    子どもは、両親や医療者、あるいは慰めになるおもちゃとの支持的関係を確立する事を試みる。プレイルームで遊んでいた子どもに「採血だよ」と声をかけると、勢い良く「うん」と答えながらも処置室に入ってこなかったりする。しばらくして自分のベッドから、ペットである怪獣のぬいぐるみを持って処置室に入ってきた。これは楽しいことをする時はペットから離れていることができても、辛い時は、ペットが必要なことを自分で知っていたケースである。

    多くの子どもにとって、親は最大の支持者である。子どもにとって辛い検査や処置を見せるのは親にとっても辛いから、離した方がいいと考えている医療者は今でも多くいるが、一緒にいた方がいいのかは、子どもと親に選んでもらうようにすると良い。



    3.プレパレーションのステップ

    (1)第一段階:子どもと子どもを取り巻く状況のアセスメント

    子どもの認知機能については、アセスメントが重要である。処置室に入り、泣きわめいていると子どもの認知能力は、年齢だけでは推し量れない。普段、親が話す事が理解できるのか、言語的発達に問題はないのかなどについて、情報収集する必要がある。子どもが病気をどう理解しているのか、その発達年齢から推測することが重要である。

    侵襲のある検査や処置に対する反応は、それまでの痛みに対する経験が大きく影響する。以前行った採血のとき、親から離されナースに馬乗りになって押さえつけられ、逃げようとして大きく動けば抑えられる力も大きくなるという体験をしたとする。そのような体験があると、採血は子どもにとって恐ろしいものとなってしまう。逆に、以前うまくできて自分が動かなければ抑えられないと知っていれば、あまり恐怖は起こらない。毎月採血している2歳の子どもが、全く抑えずにできるのはそうした学習の成果によるものである。

    また、検査や処置に対して誰がどのように説明してきたのか、検査があるということを伝えて病院に来たのかなども合わせて情報収集する必要がある。子どもと仲良くなるためには、今までの体験の共感が重要なものとなる。

    親との関係もアセスメントする必要がある。親と一緒にするかは子どもと親に選んでもらう方がいいと前述したが、実は親と一緒でないほうがいい場合も時にはある。親が威圧的に「やらなくてはいけないからさっさとしなさい」と命令し、子どもが躊躇する気持ちを受け止めない場合のように、親が子どもの支持者にならない場合がある。子どもと親の関係を見極める事が重要である。

    (2)第2段階:子どもと仲良くなることとプレパレーションの計画

    1)子どもと仲良くなること

    子どもに説明をするときに、説明する人と子どもに信頼関係がなければ、子どもは説明者の話を聞こうとしない。まず、子どもと視線を合わせるために、子どもの目の高さに説明者の位置を合わせる。子どもを見下ろしていては、威圧感を与えてしまうことになる。子どもと仲良くなればプレパレーションもうまくいく。

    また、嘘をつかないことが大切である。事実に基づいて説明し、約束出来ないことはしない。練習と言った説明を始めたら、いったん休むようにする。約束を守っていることを子どもに確認しながら信頼関係を築いていくようにする。

    2)方法の選択

    ①時期

    子どもの記憶できる期間によって、説明などをする時期は異なってくる。 記憶できる期間は、幼児後期では2-3日、学童中期以降では1ヶ月以上といわれている。

    ②親への説明

    親にプレパレーションの意義について説明し、協働して時期や方法を決める事が大切となる。親自身が、子どもの対処能力を知らないために、子どもにプレパレーションが必要であることを知らないことも多くある。親が子どもに採血の説明をしていない場合、なぜしていないのかを説明すると、「子どもが小さいので説明してもわからないから」「説明するとかえって怖がってしまう」などと答える。

    親と一緒にプレパレーションを受けると、親が子どもの対処能力に気づいていく。また、子どもの支持者である親がプレパレーションに理解があると、親もプレパレーションに参加し、効果も上がっていく。

    ③場所

    プレパレーションを行うにあたっては、子どもが安心できる場所を設定する必要がある。処置室に入ってこない時や処置室で怖がっている時は、処置室を出て子どもが今まで待っていた待合室で行ったりするのも良い。

    ④プレパレーションの方法

    子どもの発達や特性に合わせて親と協働して決めていく。

    第3段階:(3)プレパレーションの実施

    プレパレーションは、何よりも子どもの気持ちを確認しながら進めていくことが大切となる。説明を棒読みするだけではいけない。子どもがどんな反応をしているのかを観察しながら、柔軟に対応していく必要がある。途中で恐怖を表現した時にはそこで一時中止にしたり、混乱をしているときには反復したりしていく。ストレスが大きいと判断した場合は、説明を一度に行わない事も考慮する。

    (4)第4段階:ディストラクション(気晴らし)

    言語的な説明が理解できない2歳以下の乳幼児には、特に重要な段階である。

    また、処置室や手術室の環境整備も非常に重要である。子どもにとって見慣れない器具には覆いを掛けておいたり、カーテンを子どもが和む柄を選んだり、BGMを工夫するのも良い。部屋に入ってきたときに子どもの視線がどこに行くかを考慮してキャラクターの絵を描いておくこともよい効果を得られる。

    (5)第5段階:実施したプレパレーションの適切性の評価とその後のフォロー

    1)検査や処置終了時の対応

    終了時には終わったことをきちんと伝える。そして、頑張りを認め、褒める事が大切である。つらい検査や処置に立ち向かえたことをプラスの体験として伝え、本人の成功体験とできるように、達成感や満足感が得られるように援助する。「頑張った人だあれ?」と聞いた時に、ニヤッと笑う子どもの得意げな�
    ��は印象的である。この子どもの成功体験の積み重ねが病気に立ち向かう力を育むことになる。

    親にも、嫌な事を頑張って子どもが成長できた事を伝える。そこにいなかった他の家族にも、成功体験として伝えるように話す。覚悟するのに時間がかかった子どもほど、この話を親にすると涙ぐんで喜ぶことがある。

    2)評価

    直後の評価としては、検査や処置に協力する態度が見られたか、終了時に自分が頑張れたことを表現できるかなどで評価する。

    評価については日本ではまだ文献がすくなく、術前検査のプレパレーションの入院生活への影響や、入院中のプレパレーションの退院後の適応への影響に関する評価はこれからである。



  • 小児看護での髄膜炎 看護のポイントを振り返ろう

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    看護学生さんが小児看護実習で髄膜炎の患児を受け持つ事は稀ではありますが、インフルエンザなどで髄膜炎に移行することがあります。

    そのため、小児看護実習に行く前に小児髄膜炎についておさらいしておきましょう。

    吹き出し イラスト6

    大人でも小児でも【髄膜炎】とは非常に重篤な病気の一つになります!しっかりとポイントを抑えておきましょう!



    髄膜炎2

    1.小児髄膜炎の病態生理

    髄膜炎は病原性微生物による軟膜、くも膜、クモ膜下空の炎症である。

    ○ウイルス感染によるウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎)や、細菌性髄膜炎、結核性髄膜炎、真菌性髄膜炎があるが、この中でも遭遇する機会の多いウイルス性髄膜炎と細胞性髄膜炎である。

    ○細菌性髄膜炎:通常、菌血症が髄膜炎に先行、あるいは同時に発生する。

    細菌が脈絡業や脳脊髄膜を通って髄液に入ると急速に増殖し、それに対して多核白血球浸潤などの炎症反応が引き起こされる。また、インフルエンザ菌や髄膜炎炎菌由来のエンドトキシンや、肺炎球菌由来のペプチドグリカンが刺激となってサイトカインが産生されると、より一層の炎症反応が誘発され、脳浮腫、虚血などをきたす。

    ○ウイルス性髄膜炎:ウイルスによる神経組織への直接的侵襲と、宿主のウイルス性抗原に対する反応により、脳脊髄膜に炎症が起きると考えられる。炎症が脳組織まで巻き込む場合は脳炎とよばれる。

      髄膜炎

    2.小児髄膜炎の病因・増悪因子

    ○ウイルス性髄膜炎の原因はエンテロウイスル(エコー、コクサッキー)、ムンプスウイルスなど。

    ○細菌性髄膜炎の原因菌は年齢により異なり、新生児期はグラム陰性桿菌(大腸菌など)、B群溶連菌、リステリア菌が多く、幼児期以後はインフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌が多い。

    3.小児髄膜炎の発症・予後

    髄膜炎の中ではウイルス性髄膜炎が最も多い。エンテロウイスルによるものは夏季に多く、後発年齢は学童以下が多い。 細菌性髄膜炎の発症は1歳までが最も多い。

    ウイルス性髄膜炎は予後良好であるがムンプスウイルスが原因の場合は難聴が後遺症として残ることがある。死亡率は10%程度といわれる。

     

    4.小児髄膜炎の症状

    主症状は発熱、頭痛、嘔吐、髄膜刺激症状である。

    📌ポイント

    発熱
    頭蓋内圧更新症状(頭痛、大泉門膨隆、意識障害)
    髄膜刺激症状
    痙攣
    随伴症状
    悪心・嘔吐
    食欲不振
    下痢
    不機嫌
    知覚過敏(易刺激性)
    後遺症
    脳浮腫
    DIC
    後遺症
    硬膜下水腫
    発達遅延
    知的障害
    てんかん
    半身麻痺
    四肢麻痺
    難聴
    視力障害など

    5.小児髄膜炎の診断・検査

    症状がある場合は髄膜炎を疑い、髄液検査を行う。新生児期には、哺乳力低下、不活発、筋緊張低下、痙攣、チアノーゼなどの症状に注意する。

    発熱や大泉門膨隆を伴うことがある。乳児の場合は、哺乳力低下、不安、興奮、傾眠、痙攣、大泉門膨隆などの症状に注意する。

    また、項部硬直がわかりにくくても、おむつ交換時にお尻を持ち上げると嫌がって泣くことなども診断の一助となる。

    検査値

    髄液検査で髄液細胞数(多核球/単核球比も重要である)、タンパク、糖、髄液圧を測定する。これらの髄液所見は原因微生物により異なる。血液検査は、血算、生化学検査、CRP測定を行い、炎症反応や電解質異常を評価する。

    細菌性髄膜炎が疑われる場合 髄液沈査

    6.小児髄膜炎の看護

    生命の維持に関わる重篤な症状や後遺症を伴うことがあるので、観察と異常の早期発見が求められる。

    髄液検査が頻回に実施される場合、身体的にも精神的にも苦痛を伴うため看護援助が重要となる。 患児の家族は「髄膜炎」と診断されると、脳への影響を非常に心配して不安を抱くため、説明と心理面への支援が重要となる。

    7.小児髄膜炎のアセスメントのポイント

    全身状態の把握

    家族から身体的・心理的な状態を聞き出すことで、トータルなケアを行うことができる。

    観察項目

    患児の苦痛を増強させているものを把握する(検査、診察、環境、安静、点滴など)

    症状の部位、出現状況、程度の観察:症状がどんな部位でどのように出現し、どの程度なのかを観察する。症状の状態や程度を把握することは、治療計画、看護計画の立案に有効である。小児は予備能力が乏しいため、病状の進行が早く重篤化しやすい。

    さらに症状の表現に限界あるため、異常の早期発見が遅れる場合もある。症状以外に、機嫌、啼泣、動作、姿勢なども観察して評価する。

    小児髄膜炎の発熱

    ほとんどの患児は急性期に急な発熱と高体温の持続がみられる。解熱は髄膜炎の治療効果の判定の指標にもなるため、熱型や持続時間、頻度にも注意する。

    発熱により、脳代謝が亢進し、意識障害、頭痛などがみられる。

    頭蓋内圧亢進症状

    頭痛、意識障害、大泉門膨隆、頭囲拡大、瞳孔の異常、痙攣、悪心・嘔吐

    患児の意識レベルの判定は難しいが、小児用のスケールを用い、家族の協力も得て判断する。

    頭蓋内圧亢進によってバイタルサインも変化する。

    乳幼児では大泉門膨隆の確認や頭囲判定を行う。

    小児髄膜炎の髄膜刺激症状

    項部痙直、頭痛、ケルニッヒ徴候、ブルジンスキー徴候、後弓反張

    ウイルス性髄膜炎に比べ、細菌性髄膜炎で著明にみられることがある。

    それぞれの症状や徴候の観察の仕方を習得し、苦痛にならないよう観察を行う。

    小児髄膜炎の痙攣

    小児は中枢神経の発達が未熟なため、痙攣をおこしやすい。痙攣は生命の危険性につながるサインとなる場合もあるためバイタルサイン、痙攣のタイプの観察と早期の対処が重要になる。

    小児髄膜炎の薬の効果・副作用の観察

    薬の効果は、治療や症状緩和の判定指標になるため注意深く観察する。薬によっては重大な副作用がみられることがあるため注意深く観察する。

    検査の把握

    急性期は苦痛な身体症状がある上、様々な検査が実施されることが多い。

    患児の年齢、発達状況、理解状況などを把握したうえで、少しでも不安や苦痛が軽減されるよう支援していく必要がある。

    環境、日常生活の観察:急性期には発熱や式生涯を伴っていることが多く、身体損傷の危険性が高いので、ベッド周囲の環境調整が重要となる。

    患児・家族の心理・社会的側面の把握:患児・家族が疾患をどのように認識しているのかを確認する。また患児・家族の心理状態に応じて、援助を継続しなければならない。

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