皮膚統合性障害リスク状態 皮膚トラブル6選 これで実習は問題なし
みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくら(@lemonkango)です。
今回は、皮膚統合性障害リスク状態について解説したいと思います!
看護診断名になりますが、所謂「褥瘡」の看護になります!
実習では老年期の患者さんを受け持つ場合がほとんどです。
その中でいかに皮膚トラブルを発生要因を理解し学生なりに援助計画を立案し援助していくか
看護師資格をまだ持たない学生さんが出来ることで一番重要な事項になります。
今回の記事では 学生さんが使用しやすい看護診断・皮膚統合性障害リスク状態 皮膚トラブルの看護計画について解説したいと思います。
皮膚トラブルの要因ってなんだろう?
実習で受け持った際、一番学生さんが気にしなくてはいけないのは、患者さんが寝たきりなのか、車椅子に移乗しているのか、それともある程度自立しているのか・・・
についてです。
いわゆる、ADLの程度になります!
それを踏まえて、ルート類はどうなっているのか
例えば、点滴や膀胱留置カテーテル挿入している、SBバックが挿入されているなど
褥瘡の有無や発生要因の有無
などです。
スキントラブルの直接的な原因を探ります。スキントラブルの対応策を導くためにも原因を知ることは重要です。
「医療用テープを剥がしたときに生じた剥離刺激」「弾性ストッキングのしわで圧迫された紅斑」「便失禁があり便の付着によるびらん」「持続する圧迫による褥瘡」などと発生部位に何が生じていたかを考えます。
さらに、その褥瘡の原因は圧迫が主なのか、圧迫に加え強いずれ力も生じていたのか、その方向は、などと追究していきます。褥瘡の部位や形状、日々の姿勢などからアセスメントします
学生さんは絶対に上記の点をしっかりと観察、アセスメントできるようにしておきましょう。
看護学生さんにわかりやすいサイトがありましたので、下記リンクでご紹介しておきます!
アルメディアWEB
皮膚トラブルの看護目標を考えよう
ここから上記の観察項目からアセスメントした結果の看護目標の記述となります。
例えば、褥瘡について・・・
発生要因の可能性、すでに発生しているものについてどのようになって欲しいのか
個別性を加えてしっかりと記述しましょう。
例として
1.皮膚の清潔を保持でき、爽快感を得ることができる。
2.外傷を起こさず苦痛が生じない
3.すでにあるスキントラブルが悪化しない。新たなスキントラブルの発生が防げる。
などがあります。
3. についてもっと看護学生さんよりに解釈して記入するとしたら下記の看護問題と看護目標が抽出できるかと思います!
#免疫力低下によるスキントラブルがある。また、新たなスキントラブルが発生する可能性がある。
看護目標:すでにあるスキントラブルが悪化しない。新たなスキントラブルの発生が防げる。
皮膚トラブルの看護上の問題って?
学生さんが日夜、一生懸命にアセスメントした結果の結論となります。
対象がどのような看護上の問題が生じているのかしっかりとアセスメントしましょう。
また、NANDAなどの標準看護で計画・立案している学生さんはしっかりとその根拠となる要因をアセスメントしていきましょう。
褥瘡の標準看護計画の例
褥瘡の看護問題
◯◯の要因に伴う褥瘡発生のリスク状態
褥瘡の要因
*長期臥床
*自力体動困難
*低栄養
褥瘡の看護目標
褥瘡が発生しない。または褥瘡が悪化せず治癒する。
・褥瘡予防への援助を受け入れることができる。
褥瘡の観察項目(O-P)
1.バイタルサイン、発熱の有無
2.ADLの状態、自力体動の程度、麻痺の有無、関節拘縮の有無
3.皮膚の状態(骨の突出、皮膚の脆弱化の有無と程度)
4.検査データ(栄養状態など)
5.患者さんの訴え、言動、表情
援助計画(T-P)
1.定期的な体位交換、除圧、着衣、寝具・カテーテル類による圧迫予防
2.栄養状態の維持・改善
・嚥下状態やADLに応じた食事介助
・食事摂取量を増加させる工夫(環境の調整、好みの取り入れ、食事形態の調整、分食)
・経管栄養の管理
3.皮膚の清潔保持
4.骨の突出部、脆弱化した皮膚の保護、ドレッシング材の使用
5.褥瘡の処置、医師の指示に基づいた処置を施行する。
教育計画(E-P)
1.褥瘡発生予防、または悪化予防のための援助の必要性
・体位変換
・除圧
・皮膚の清潔保持
・骨突出物や脆弱化した皮膚の保護
・支持された処置
2.食事摂取による栄養状態の維持・改善の必要性
皮膚トラブルの看護計画
皮膚トラブルの観察項目(O-P)
◯皮膚の性状、弾力性の程度、皮膚乾燥の程度
◯皮膚の汚染の有無と程度
◯皮膚損傷の有無
皮膚状態(発赤・腫脹・びらん・水疱の有無、乾燥や湿潤状態)
皮膚の内出血の有無
背部、殿部に生じている紅斑の変化
掻痒感や疼痛の有無と程度、部位
検査データ(TP,Alb,電解質)
栄養状態
◯口腔内の汚染の程度
◯浮腫の有無・程度、部位
◯移動・活動時、リハビリ時のADLの程度
◯倦怠感の有無、疲労の有無
◯傾眠傾向の有無と程度
◯全身状態の有無#1参照
意識レベル、精神状態、理解力、認知力。
ADLの状態
運動障害、関節可動域の程度。
歩行状態と補助器具の使用状況
めまい、ふらつき、気分不快の有無。
移動しやすい衣服、履物であるかどうか。
移乗移動介助前後の皮膚の状態。
環境
脱水症状、出血傾向の有無。
Baチューブ類の状態(固定状態、部位)
薬剤の使用状況と離脱状況の有無。
皮膚トラブルの援助計画(T-P)
全身清拭
足浴
必要時、医師の指示のもと、軟膏処方・塗布する。
保湿剤を使用する。
爪切り
入浴介助
整容:洗髪、整髪、ひげそり
ポジショニング:体位変換
背部・殿部の紅斑には医師の指示による処置(外用薬の塗布など)を行う。
寝衣やシーツを調整し皮膚刺激を避ける。
栄養管理
2時間おきの体位変換
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皮膚トラブルの教育計画(E-P)
体位変換の必要性を説明する
疼痛や痺れや痒みの部位、性質、程度を知らせるよう説明する
清潔の必要性について説明する。
実習では皮膚トラブルに関連する入院患者さんが多數いらっしゃいます。
そのため、基礎看護実習や、領域別実習に行く前に皮膚トラブルについて事前学習をおさらいしておきましょう。
褥瘡の分類
基礎的な褥瘡のは発生要因とは、「血流障害によるものです。
そのため、寝たきりなどで一定の部位が長時間圧迫されることで褥瘡が発生します
主な好発部位として、仙骨部、大転子部、踵部が褥瘡の好発部位になります!
それ以外の要因として、低栄養状態がなります!
低栄養状態のアセスメントのポイントとしては
高齢者では何が何でも低栄養状態と記載するようにします
何故か?
高齢者の栄養状態は消化器機能、エネルギーの変換などが低下するためです!
そのため、病院に入院する高齢者の殆どが栄養状態の検査項目に異常値を示している事がほとんどになります!
それでは、褥瘡の分類の方法について解説します。
褥瘡の分類方法について様々あります。 ここではよく使用されている分類方法についてご紹介させていただきます!
1.ブレーデンスケール
2.K式スケール
3.OHスケール
4.厚生労働省危険因子評価票
こちらのスケールがよく使用されている褥瘡の分類方法になります。
上記の4つは検索すればいくらでもデータが出てくるのでここでは細かいことは省略させて頂きます!
褥瘡の治療
褥瘡評価により、素麺洗浄化を求められる時期(黒色期・黄色期)なのか
損傷治療を促進する時期(赤色期・白色期)なのかを判断する。
素麺洗浄化の時期であれば、感染の制御、壊死組織の除去、滲出液の制御などを目標とする。
創傷治療を促進する時期であれば肉芽形成や表皮化を促す外用薬、ドレッシング剤を用いる。
慢性創傷は、治癒過程のどこかが障害されて治癒が遅れたものです。 特に褥瘡では、炎症期が遷延化・慢性化している場合が多いといえます。炎症期から増殖期になかなか移行しないのです。
つまり、「線維芽細胞が周辺から遊走して、細胞外マトリックスを再構築し、血管新生が起こり、肉芽組織が形成される」過程に障害が起こるわけです。増殖因子・サイトカイン組成の変化による創傷治癒障害が起こっていたり、細胞外マトリックスの異常が起こっている場合です。本来、サイトカインが活性化していれば傷は治るのですが、サイトカイン活性が低下するということは、栄養状態が悪かったり何らかの原因で全身状態が落ちていたりすることが考えられます。
慢性創傷が治癒段階に移るためには、「創面環境調整(wound bed preparation:ウンド・ベッド・プリパレーション)」が必要になります。
褥瘡の治癒に関しては、看護師観点・視点からだと治癒よりも予防やケアが主になります。
細胞の皮膚損傷過程について頭に入っていれば良いかと思います!
褥瘡の予防
1)体圧分散ケア
圧迫力とずれ力ができるだけかからないにようにし、体の組織が傷んでしまう前に体位を変え、血の流れをよくすることが重要です。
圧迫を予防するには、患者さんに合った「体圧分散寝具(マットレス)」を選ぶことです。体がマットに沈み込み、骨突出部と接触する面積が広くなることで減圧・除圧ができます。
ウレタンマットレスやエアマットレスなどは、厚さ7㎝以上のものを使用しましょう。マットレスにはいろいろな種類があり、患者さんが自分でどれだけ体位を変換できるか、ベッド上ではどんな体位をとっているかなどを考えて選択します。
座っているときは、「姿勢保持クッション」を使用します。 2)摩擦・ずれの予防
ベッドに寝ている時
①本人が体の向きを変えられない場合は、できるだけ二人の介助者で最低2~3時間ごとに体の向きを変えます。移動する場合には引きずらないで体を浮かせて行います。
②上半身を支えるベッド部分の傾きは30度以下に。
③ベッドの傾きが30度以下でも、ずり落ちないようベッドの足側を上げるか、膝下に枕を入れましょう *臀部で体を支え、ベッドとの接触面積を広げることで除圧ができます。
④体を横に向け、パジャマの背中部分やシーツのしわを取り除きましょう。体の下に手を入れるときには「すべりやすい手袋」(ビニール袋など)を用いると皮膚のずれを予防でき、簡単に手が入ります。
体の向きを変えたあとパジャマやシーツのしわを伸ばします。体の下にできたパジャマやシーツのしわを伸ばそうと、患者さんが寝たままで引っ張ると摩擦・ずれの原因となります。
褥瘡ができたときは、その部分が下になる体位はできるだけとらないように。【円座の使用は禁止】です。円座で皮膚が引っ張られ、接触部の血行が悪くなるからです。
面積の広いふくらはぎの下に枕などを入れて、かかとにかかる圧を軽くしましょう。
車椅子などに座っているとき
座る姿勢は、横から見て、のように、股関節、膝関節、足関節の角度がいずれも90度になるよう保持するのが基本です。
90度で座ると、圧力はおしりの骨突出部分から、より広い面積のところ(大臀前部)へかかるので、褥瘡ができにくくなります。
長時間、座っている姿勢をとるのは避けましょう(車椅子は1時間まで)。殿部の血のめぐりが悪くなるのを予防するため、15分に1回殿部を浮かせます。自力でおしりを持ち上げられない場合、座るのは1時間以内に。
クッションを使用したポジショニング
褥瘡の予防には、できるだけ広い面積で体重を支えて圧を分散させることが必要です。体にフィットしやすい素材の適切なクッションを選んで使いましょう。
ベッドと体の間にすき間ができると、体の狭い範囲で体を支えねばならず、その部分の筋肉が過度に緊張します。この過緊張状態が続くと筋肉が縮んでしまう要因となります。
3)スキンケア
正常な皮膚の機能
正常な皮膚は、角質細胞と呼ばれる細胞の層(角質層)が水分を保っていて、外から微生物、アレルギーの原因となるアレルゲンなど刺激物が侵入するのを防いでいます。この働きが低下すると、角質層から水分が蒸発して、皮膚は乾燥しドライスキンとなります。ドライスキンでは、皮膚表面のすき間が多いので刺激物などが侵入しやすく、皮膚障害が起こりやすくなります。
基本的スキンケア
乾燥した皮膚は、摩擦されるとはがれやすくなっていますので、清拭(せいしき)や入浴後に水をはじく撥水(はっすい)クリームを塗り、乾燥を予防します。
骨突起部のマッサージはしないこと。マサージ自体が皮膚に摩擦やずれを引き起こすからです。
尿・便失禁で皮膚が湿っている場合は、皮膚がふやけたり、皮膚炎が起きたりするのを予防するため、撥水性の高い軟膏・保湿クリームを塗ります。
心不全や脳梗塞による血流障害や低栄養、皮膚温が低下した状態が続くと、皮膚は薄くなり、乾燥しやすくなります。乾燥すると、かゆくなりやすく、その部分は、かいたり、摩擦による刺激で、傷つきやすくなります。保湿クリームを塗って乾燥を防ぎましょう。
また、重力によって、体の下側になる部分に浮腫が強くなり、床ずれができやすくなります。指の間、もものつけねなど皮膚が重なりあう部分は、ふやけやすく、皮膚障害が起こりやすくなります。皮膚を清潔に保ち、撥水性軟膏やクリームを使いましょう。
よく使われる軟膏、保湿クリーム、撥水クリームをまとめました。
4)排尿・排便のケア…スキントラブルを少なくする方法
(1)オムツを効果的に使いましょう
オムツ、尿取り、失禁パッドとも、体にあったものを使ってください。素材、吸収量をよく検討して選ぶこと。夜間は、吸収率の高いパッドを使いましょう。
オムツを多く使用すると、むれの原因になるだけでなく、摩擦やずれが生じやすくなり、体へかかる圧が高まります。水様便の場合は軟便吸収パッドがあります。
(2)オムツ交換を減らす方法
夜間などにオムツ交換を少なくするには、吸収力の高いオムツを使用することが重要です。また1回の尿量に合わせたオムツを選ぶことで、無駄な交換時間を減らせます。
(3)皮膚の清潔を保ち、汚れを防ぐ
オムツ交換時に、ぬるま湯(37度~38度)を使い、石鹸をよく泡立てて便や尿をよく洗い流します(1日に1、2回)。ナイロン手袋をした手で洗い、石鹸は残らないように十分に洗い流してください。便排泄後はティッシュ、ガーゼやタオルなどでこすらず、殿部の薬用清浄剤(サニーナ®など)でふき取ります。
できる限り、摩擦刺激が少ないようにすることで皮膚障害を予防できます。
当然のことですが、汚れを放置しておくと皮膚炎が起こりやすくなり、褥瘡ができやすくなります。
便失禁の場合は、便に含まれる消化酵素が皮膚に付着しないよう肛門の周囲に保護クリームをしっかり使い、皮膚を守りましょう。
皮膚がふやけるのを防ぐため、吸収力が強く、通気性がよいオムツを選びましょう。外からの刺激を防ぐため、軟膏やオイルを塗ります。
(4)真菌について
皮膚がふやけると、真菌が発生しやすくなります。
皮膚がふやけやすくなる環境を避け、尿・便をきれいに取り除くための洗浄と、撥水ケアが予防につながります。
もし赤くなって真菌(感染)が疑われるときは皮膚�
�を受診し、治療してください。
5)栄養管理
褥瘡の多くは、皮膚が圧迫された状態が続き、皮膚の内面組織や筋肉に血液から十分な栄養が行き届かなくなることが原因の一つです。ですから皮膚への圧迫を減らす一方、皮膚・筋肉に常に栄養を与え、丈夫にしておくことが、床ずれの予防・治療につながります。
健康な皮膚・筋肉づくりには日々必要な栄養素を十分にとっていることがとても大切です。「食事で褥瘡はよくなりますか?」と問われれば、答えは「イエス」です。
食事の注意点をまとめました。これを日々の献立ての参考にしてください。
傷、創の手当て
★詳しくは、医師や看護師の指示に従って処置して下さい。
1) 洗浄・消毒:褥瘡にはシャワー浴をお勧めします。ただし、医師の指示により生食を使用する場合があります。
ぬるま湯での洗浄でも結構ですが、十分なお湯で洗い流すことが重要です。皮膚への刺激の少ない弱酸性石鹸をよく泡立て、周囲の皮膚を泡で洗います。
*消毒剤を使用する場合は、ぬるま湯か、生理食塩液で洗い流し、消毒剤を残さないことが重要です。
2) 外用薬:医師の指示にしたがって使用してください。
3) 浅い床ずれの場合:傷の面に外から力がかからないように保護し、適度に湿った状態を保って皮膚の再生を図ることが大切です。指で押しても消えない赤みは床ずれの初期です。傷の周囲が赤い、水ぶくれができている、ただれている場合は、発赤部に油脂性軟膏(白色ワセリンなど)を厚く塗って、半透明のフィルムドレッシング材を張り、保護することもあります。軟膏は撥水性の高いものを塗布することをお勧めします。(セキューラ®、リモイスバリア®、キャビロンクリーム®など)
4) 深い褥瘡の場合:滲出液を吸収することが重要です。滲出液を吸う外用薬や、医師の指示で感染の治療のための外用薬を使用します。
褥瘡の病態関連図
工事中
